2014 Fiscal Year Research-status Report
筋細胞膜の電気特性を利用した加齢に伴う筋機能低下の新しい評価法の開発
Project/Area Number |
25560339
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Research Institution | Kyoto Gakuen University |
Principal Investigator |
木村 みさか 京都学園大学, バイオ環境学部, 教授 (90150573)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 陽介 独立行政法人国立健康・栄養研究所, 基礎栄養研究部, 研究員 (60550118)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | サルコペニア / 骨格筋量 / 筋細胞膜の生物物理学的特性 / MF-BIS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ヒトの筋細胞膜の特性を生体内で非侵襲的に評価する手法の開発を目指し、Multi-Frequency Bioelectrical Impedance Spectroscopy(MF-BIS)によって得られる信号情報のうち、Phase angleが最大となる周波数から求められるCapacitanceに筋細胞膜の電気的特徴が含有されていることを用い、MF-BISを用いて筋細胞膜の生物物理学特性の加齢変化を非侵襲的に評価する方法を開発することを目的とする。 MF-BIS法では、交流電流の性質と、生体内の電気特性との関係から、Resistance成分とReactance成分が求められ、ベクトル平面図で電気的特徴を評価することができる。平成25、26年度には、MF-BIS法による筋細胞膜電気的特性が若齢者と高齢者、自立高齢者と要介護高齢者、心疾患患者の長期入院等の集団でどのように異なるかを測定・調査することを目的とし、多数例による比較を行なった。その結果、このような集団の電気特性プロットは、2次元平面上にきれいな広がりを持って分布することが明らかになった。このベクトル平面図上の値から、電気特性パラメータを得たうえで、筋細胞膜の生物物理学的特性を推定するモデルを作成した。 一方、筋細胞膜は筋収縮に伴って形状が変化し、生物物理学的特性が変化する。そのため、平成26年度は、筋収縮中の電気特性をMF-BIS法で連続的に評価することで、筋細胞膜の生物物理学的特性との関連を明らかにすることを目的とした。先ず、漸増負荷等尺性力発揮運動においてMF-BIS法で計測した筋細胞内外液の変化および筋細胞膜の電気特性をResistance-Reactance平面にプロットし、電気特性パラメータを得たうえで、筋細胞膜の生物物理学的特性を推定するモデルを作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、MF-BIS法による筋細胞膜の電気的特性を検討するために、多数例データを得ることが大きな目的で研究を行った。MF-BIS法は、これまでの研究で使用しており、2,000名を超えるデータベースを構築している。平成25年度は、MF-BIS法に関する造詣が深い、従来からの共同研究者である山田陽介氏が海外共同研究者のUniversity of Wisconsin-MadisonのDale A. Schoeller教授のもとに1年間留学し、Schoeller教授による実験データの監修と討議を進め、氏の留学期間中に、MIDUS(Midlife in the United States, A National Longitudinal Study of Health & Well-Being)に参加し、20~80歳のアメリカ人約100名の測定を行い、人種比較も可能なデータベースの構築が進んでいる。さらに、筋細胞膜は筋収縮に伴って形状が変化し、生物物理学的特性が変化するが、これについては、平成26年度は、筋収縮中の電気特性をMF-BIS法で連続的に評価することで、筋細胞膜の生物物理学的特性との関連を明らかにする仕事にも着手できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、漸増負荷等尺性力発揮運動においてMF-BIS法で計測した筋細胞内外液の変化および筋細胞膜の電気特性をResistance-Reactance平面にプロットし、電気特性パラメータを得たうえで、筋細胞膜の生物物理学的特性を推定するモデルを作成する。さらに、31P-MRS、DT-MRI、MRIのT2強調画像、近赤外線分光法(NIRS)、筋電図(EMG)・筋音図(MMG)、超音波画像、超音波ドプラーを用いて、電気特性パラメータと比較することで、その特徴を相互比較する。基礎研究は等尺性運動で行なうが、同時に、動作を伴う各種運動様式(コンセントリック・エキセントリック収縮、ダイナミックな反復運動)中・後の計測にもチャレンジする。現在、自転車運動中の測定を試みており、運動強度の増加に伴って変化するシグナルを捉えることができそうである。こちらについては、NIRS、EMG、MMG、超音波画像、動作解析との比較により相互妥当性を検証する。 成果は国内外の学会で発表すると共に、論文として公表する。
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Causes of Carryover |
学会旅費1回分として残った
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度、体力医学会参加費量にあてる。
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Research Products
(40 results)
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[Presentation] 地域高齢者を対象とした体力科学的アプローチによる認知症とサルコペニア予防の縦断研究―福岡那珂川研究― 認知機能低下者への運動介入の効果2014
Author(s)
古瀬裕次郎, 池永昌弘, 森村和浩, 山田陽介, 武田典, 三好伸幸, 栗山緑,町田由紀子, 合馬慎二, 坪井義夫, 山田達夫, 木村みさか, 清永明, 田中宏, 桧垣靖樹, Nakagawa Study Group
Organizer
第16回 七隈アルツハイマー病・パーキンソン病研究会
Place of Presentation
福岡大学、福岡
Year and Date
2014-04-26 – 2014-04-26
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