2013 Fiscal Year Annual Research Report
運動と免疫のクロストークに対するマクロファージ時計遺伝子の役割
Project/Area Number |
25560340
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
大野 秀樹 杏林大学, 医学部, 教授 (00133819)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | マクロファージ / Rev-erbα / 単球走化性因子 / 炎症反応 / 運動 |
Research Abstract |
不規則な生活習慣による概日リズムの乱れは免疫機能異常を惹起し、慢性炎症やがんなどの引き金になることが示唆されている。そこで本研究では、マクロファージにおける免疫制御機能に対する時計遺伝子Rev-erbαの役割について検討した。 老化及び肥満マウスの腹腔マクロファージを採取し、Rev-erbαの遺伝子発現変化を明期と暗期で比較検討した。マウス腹腔マクロファージおよびマウスマクロファージ細胞株(RAW264)にRev-erbα作動薬のGSK4112またはHeminを添加したときの単球走化性因子(MCP1)の遺伝子発現を検討した。さらに、RAW264を用いて樹立したRev-erbαの過剰発現細胞株(RAWrev)のMCP1発現量やプロモーター活性、及びMCP1が活性化する細胞内シグナル伝達系やマクロファージの免疫機能変化を検討した。 老化や肥満マウスの腹腔マクロファージでは、Rev-erbαの遺伝子発現の周期性の乱れが見られた。腹腔マクロファージ及びRAW264に対する細菌膜成分のリポ多糖(LPS)刺激によるMCP1の発現誘導をRev-erbα作動薬は抑制した。また、RAWrevではLPS刺激によるMCP1の発現誘導、及びその分泌が抑制され、MCP1の下流シグナルのp38やERKのリン酸化を減弱させた。さらに、MCP1が活性化する細胞の走化性や接着能、integrinβ1の発現が低下した。加えて、MCP1のプロモーター領域の-542bpにRev-erbαの応答配列(RORE)があり、MCP1遺伝子の発現誘導を負に制御していた。 以上から、Rev-erbαはMCP1遺伝子の発現を抑制し、マクロファージの免疫機能を修飾することが示唆された。今後、Rev-erbαの発現に対する運動の影響を明らかにすることによって、慢性炎症性疾患に対する効果的な運動処方の確立に繋げたい。
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Research Products
(33 results)