2013 Fiscal Year Research-status Report
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25560344
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
橋本 健志 立命館大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (70511608)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 認知症 / 運動 / 神経細胞 |
Research Abstract |
本研究は、運動効果の分子機序としての乳酸が神経細胞のミトコンドリア増殖を誘発し、認知症の改善や記憶などの脳機能にどのような影響をもたらすかを探究する、すなわち、生体内乳酸濃度調節が脳に及ぼす効果の検証を行うものである。 海馬の初代培養細胞に対して乳酸を添加した結果、ミトコンドリアバイオジェネシスに関連したシグナル経路の活性化を誘発することを明らかにした。このことから、乳酸によるミトコンドリアバイオジェネシスの誘導が、運動による神経機能亢進並びに神経変性疾患予防の分子機序の一端を担っている可能性が示唆された。 一方、ラットに対する乳酸を基軸としたサプリメントの慢性的な投与及び習慣的な運動の併用が、ミトコンドリア増殖に影響を及ぼすのか検討した。運動および乳酸を基軸としたサプリメント投与により、ミトコンドリア関連タンパク質、脳の神経・血管新生関連タンパク質、神経に局在するタンパク質の発現が、有意な増加および増加傾向を示した。このことから、乳酸が運動による神経機能亢進並びに神経変性疾患予防効果を高める可能性が示唆された。 今後は、アルツハイマー型認知症モデルラットに対する乳酸投与と低強度運動との併用が、記憶・学習能力増強および認知機能の改善をもたらすかについて明らかにし、アルツハイマー型認知症の予防または改善に効果的な運動・栄養処方の確立のための学術的基礎の構築を目指す。最終的に、アルツハイマー型認知症の予防または改善に効果的な運動・栄養処方を確立し、それを実践することを目標とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海馬の初代培養細胞に対して乳酸を添加した結果、ミトコンドリアバイオジェネシスに関連したシグナル経路の活性化を誘発することを明らかにできた。 また、運動および乳酸を基軸としたサプリメント投与により、ミトコンドリア関連タンパク質、脳の神経・血管新生関連タンパク質、神経に局在するタンパク質の発現が、有意な増加および増加傾向を示した。 これらは当初計画していた研究内容であり、概ね順調に研究が遂行できていると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、アルツハイマー型認知症モデルラットに対する乳酸投与と低強度運動との併用が、記憶・学習能力増強および認知機能の改善をもたらすかについて明らかにし、アルツハイマー型認知症の予防または改善に効果的な運動・栄養処方の確立のための学術的基礎の構築を目指す。 また、これまでの研究成果について、さらに検体数を増やして再現性を確認した後に、学術論文として公表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の計画では、実験動物や試薬などの消耗品の購入のために予算を執行する予定であったが、研究者が行っている別の研究課題の成果を、本研究で活かすことができたため、相当額を執行しなかった。 次年度に、研究成果を学会や学術誌にて国際的に発信するために使用する。
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Research Products
(12 results)