2014 Fiscal Year Research-status Report
ヘム代謝調節による分子レベルでの疲労制御法の開発と疲労抑制メカニズムの解明
Project/Area Number |
25560366
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小川 和宏 金沢大学, 医学系, 准教授 (30344659)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 疲労 / 抗疲労効果 / 食品成分 / 酸化的ストレス / ポリアミン |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は、金沢大学(所属機関)附属病院でのカフェイン併用化学療法における、アドリアマイシン心筋症による患者急死の事例を知ったため(2010年3月2日に、原発巣が手術で除去でき遠隔転移が認められなかった悪性腫瘍患者(16歳)がアドリアマイシン投与11日後に死亡、2014年5月23日に、主治医の教授らが遺族から刑事告訴され業務上過失致死疑いで書類送検されたことが北陸中日新聞トップ記事で報道、同年9月に、厚生労働省がカフェイン併用化学療法の高度先進医療取り消し)、アドリアマイシン心毒性モデル動物を用いた毒性軽減法の検討を先行させた。その結果、ポリアミンの経口投与がアドリアマイシンの心毒性を軽減することを見出した。 アドリアマイシンの心毒性には、酸化的ストレス、DNA切断作用やDNA修復阻害作用などが関与していると考えられているため、今年度は、疲労モデル動物を用いて、ポリアミンの疲労抑制効果を検討した。その結果、経口でのポリアミン投与が、運動持続時間を延長して抗疲労効果を発揮することを見出したので、「抗疲労薬および抗疲労食品」として特許出願した(特願2015-26922号、発明者:小川和宏)。 このように、本研究においてはこれまで、心毒性軽減作用や抗疲労作用といった効果の発見が先行しており、その効果の発現メカニズムの詳細は現時点では明確になっていない。そのため、こうした具体的なメカニズムの解明とともに、更に効率的に抗疲労効果などを発揮する条件を見出すことで、食品成分や医薬品成分としての実用化により近づけていくことが、今後の課題と考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
心毒性軽減作用や抗疲労作用といった効果を発見しているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究では、心毒性軽減作用や抗疲労作用といった効果の発見が先行しているものの、その効果の発現メカニズムの詳細は未だ明確になっていないため、こうした具体的なメカニズムの解明とともに、更に効率的に効果を発揮する条件を見出して、食品成分や医薬品成分としての実用化により近づけていく方針である。
|
Causes of Carryover |
昨年度に続いて今年度も動物実験を先行させて効果の確認を行ったたため、疲労や抗疲労作用の詳細な発現メカニズム解明のための実験までに至らず、そのための費用(試薬購入など)の支出が殆どなかったため、次年度使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
疲労や抗疲労作用の詳細な発現メカニズム解明のための実験への支出を中心に考えているが、国内外の他のグループの動向などによっては、実用化に向けたより効率的な効果発現の条件を見出す実験(動物モデルでの評価など)を優先してそれに支出する可能性もあり得る。
|
Research Products
(2 results)