2015 Fiscal Year Research-status Report
易転倒高齢者の環境条件変化に対するバランス適応能力とその日内変動の解明
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25560371
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
内山 応信 秋田県立大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (30464556)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 老化 / 転倒予防 / 重心動揺 |
Outline of Annual Research Achievements |
多くの自治体等により高齢者の転倒予防介入が実施されている.しかしながら,現在なお転倒事故は高齢者の要介護化の大きな要因の一つに挙げられており,介護予防の点から大きな問題となっている. 高齢者の転倒状況に関する先行研究において,高齢者が転倒するのは特定の時間帯に多いことが明らかにされている.つまり①高齢者がバランスを崩し転倒する頻度は,ヒトの各種生体機能における概日リズムのように,時間に依存した日内変動を伴う.また,ヒトは立位姿勢時に視覚情報を制限されると,視覚への依存度を低下させ他の感覚への依存度を高めることでバランスを維持することも明らかにされている.つまり②ヒトはバランス安定化の方略を状況に合わせて時々刻々と変化・適応させている. 本研究の目的は,①「長時間スパン」及び②「短時間スパン」の両観点から,時間とともに変動するバランス制御特性を明らかにし,高齢者の転倒のし易さ(易転倒性)を評価するための従来にないアプローチ法を検討することである. 平成27年度は,前年度に引き続き,上記研究目的を達成するために,健常成人を対象とし外部環境の一時的変化を伴う人のバランス制御機能の適応スピードに関する検討を継続した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究の実施計画に従い,平成26~27年度中に外部環境の一時的変化を伴うヒトのバランス制御機能の適応スピードの検討を遂行した.しかしながら,分析手法の再検討(外部環境の変化に対する姿勢調節系の適応スピードに関する評価変数の検討)が必要となり,平成28年度に繰り越して実施することとした.
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Strategy for Future Research Activity |
当初研究計画における,平成27年度分の実施内容(高齢被験者を対象とした外部環境の一時的変化に対するヒトのバランス制御機能の適応スピードの検討)及び「適応スピードの日内変動の個人差の検討」を実施する. 平成28年度に繰り越して研究を遂行するための具体的な対策として,時間-周波数解析における基底関数の再選定と吟味,その解析結果から得られるスケール軸における時間毎のパワー値を抽出するプログラムの作成,及び抽出したパワー値に対するマルチレベル分析の導入等が挙げられる.
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Causes of Carryover |
平成27年度に,当初計画していた分析手法「時間‐周波数解析」により研究計画遂行の要となる評価変数を作成し,その評価変数を用いて残る研究を実行する予定であった.しかし上記分析において当初の仮説と異なる解析結果が得られたことから,評価変数の再考が必要となり,残る課題の実行を延期することとした.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度の未使用額は,平成28年度中において延期課題と成果発表の経費発表に充てることとした.
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