2014 Fiscal Year Research-status Report
箸を使った食生活の運動認知訓練としての意義を明らかにする脳機能イメージング研究
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25560383
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Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
中井 敏晴 独立行政法人国立長寿医療研究センター, 長寿医療工学研究部, 神経情報画像開発研究室長 (30344170)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 あゆ子 独立行政法人国立長寿医療研究センター, 長寿医療工学研究部, 研究員 (50463203)
國見 充展 独立行政法人国立長寿医療研究センター, 長寿医療工学研究部, 研究員 (70460384)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 認知訓練 / 加齢 老化 / 脳機能イメージング / 認知症 / 仮想作業 / 神経ネットワーク解析 / モーションキャプチャ / 運動制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では高齢者の体力測定項目のひとつにもなっている「豆運び」検査をモデル化して、箸を使った作業に動員される認知処理の認知訓練としての意義を明らかにする。モーションキャプチャによる実際の豆運び動作の解析、その運動認知機能を評定する仮想豆運びテスト、仮想豆運びテストを使った脳機能計測(fMRI)の3つを組み合わせ、箸を使った動作の運動認知訓練としての意義を神経機序の視点から明らかにする。 平成26年度は、前年度に構築した箸を使った豆運び作業の運動認知機能を評価する解析系により得られた測定データの解析を行った。高齢被験者40名を対象から得た実際の豆運び作業中の映像データと仮想作業における作業ステップごとの作業時間データを比較した結果、ステップごとの作業成績に関連性は認められなかったが、反応時間や作業の切り替え時間には相関が見られる可能性が示唆された。多変量解析モデルの妥当性についてさらに検討を進める必要があり、検討を進めている。 fMRIを使った脳機能イメージングにより仮想作業中の脳活動の計測を行って得られた高齢者24名、若年者23名のデータ解析を行った。操作ステップ毎の反応時間を使って一連の動作を分割して複数の事象に分けて行う解析法を用いたところ、特にCP2の時点で成績が良好な高齢者群は低位群と比較して左頭頂葉の活動がより強く検出された。CP2は豆掴みから豆移動の操作への作業切り替え点であり、高齢群における認知負荷の増加が主に豆掴み作業の成績良好群に見られる変化を強く反映したものであったことが判明した。視空間処理の成績と頭頂部の活動の関連性は、加齢による潜在的認知機能低下に対する代償機構を行動データの面から説明できる知見と考えられる。行動データによる被験者の分類により、課題試行成績と脳活動の関連性が見いだせることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年度の目標であったデータ収集と基礎解析を完了し、多変量解析モデルの妥当性検討の段階に入ることができた。測定の技術的な問題点はほぼ解決され、安定した測定が行えた。しかし、被験者の分類を行うためにはサンプル数が少ないので、データの追加が必要である。ビデオ映像解析による実際の手の動作は、最終的な豆移動成功数だけで判定していたこれまでの方法と比べて、より細分化された特徴抽出を可能とした。しかし、映像のSNが一定しないために、折返し点の判定に無視できない誤差が生じる場合があるので、軌跡全体から判定点を決定するsmoothingを改良して、実作業と仮想作業の行動データの相関性をより正確に判定できるようにする必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、箸を使った動作の仮想作業モデルと実作業のそれぞれに関する神経回路モデルを策定し、行動データの多変量解析から推定される注目ノード間の神経結合(functional connectivity)の評定を行う。その結果に基づき、行動データや神経心理検査の結果から推定される認知機能の変化を説明できる神経機序を明らかにし、日常生活における箸の使用が認知訓練としてどのような意義を持つかを説明する。動作の映像分析や行動データに基づいた被験者の分類の中で、注目される脳機能マップ上の変化と最も相関するクラス分類を探索し、フィールド(運動教室等)で利用できる指標の候補を絞り込む。
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Research Products
(20 results)