2013 Fiscal Year Research-status Report
顔刺激fMRIによる愛着障害へのオキシトシン治療効果判定システム開発
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25560386
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
友田 明美 福井大学, 子どものこころの発達研究センター, 教授 (80244135)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 発達・教育 / 反応性愛着 / オキシトシン治療 / 脳画像解析 / fMRI / 顔表情認知課題 / 金銭報酬課題 / アタッチメント障害 |
Research Abstract |
愛着障害(RAD)は、子どもへの不適切な養育(虐待・ネグレクト)による親子間の愛着形成の歪みから引き起こされる。行動面では、注意が持続しない、落ち着きがないといった注意欠陥多動性障害(ADHD)と似た症状を呈し、学習や対人関係、社会活動に支障をきたす。 本研究では、fMRIを用いて愛着障害の神経基盤を明らかにする。さらに、「小児期愛着形成障害の発症メカニズム」を理解することにより、愛着障害に対する神経科学的基盤に立脚した予防法・治療法の開発を目指している。 本年度は、RAD患児8名(13.8±2.0歳)と対照となる定型発達児8名(12.9±1.7歳)に金銭報酬を伴うカードめくり課題を行い、fMRIで神経賦活度を測定し、Strengths and Difficulties Questionnaire(SDQ;子どもの強さと困難さアンケート)による情緒・行動の重症度質問紙との関連を調べた。 その結果、①RAD群では定型発達群と比べて、金銭報酬の高低にかかわらず、金銭報酬獲得時の右側線条体(被殻・尾状核)の賦活度が低下していた (p < 0.05)。すなわちRAD患者の報酬への感受性低下が示唆され、線条体経路のドパミン機能不全の関連が示唆された。また、脳活動とSDQ全体スコアに負の相関がみられ、情緒・行動の困難さが強いほど脳賦活値が低かった(r = -0.53, p = 0.03)。②ADHD患者では低い金銭報酬fMRI時の賦活度低下があり、その感受性の低さは投薬によって回復する可能性が示唆されているが、RAD群ではADHDのように低い金銭報酬で特異的に線条体の賦活が低下することは認められなかったことから、ADHDと鑑別するマーカーとなる可能性が検討された。今後さらに被験者数を増やし研究を進めることで、RADの報酬系機能低下のメカニズムや薬物療法などの治療効果を評価したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
愛着障害(RAD)群では定型発達群と比べて、金銭報酬の高低にかかわらず、金銭報酬獲得時の右側線条体(被殻・尾状核)の賦活度が低下していることを、当該年度の成果で確認できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
オキシトシン点鼻薬または偽薬の単回投与前後に、fMRI検査(報酬系課題・顔表情認知課題)を行い、脳活動変化および過覚醒の改善を評価する。健常者群と愛着障害患者群の二重盲検ランダム化クロスオーバー比較試験をする。最終的にその成果を国際学会で共同発表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
最終年度において、今後の推進方策を遂行する必要があるため。 1. 愛着障害患児へのOT点鼻薬または偽薬の単回投与前後の脳画像解析 OTまたは偽薬の単回投与前後に、fMRI検査および皮膚電気反応検査を行い、脳活動変化および過覚醒の改善を評価する。健常者群と愛着障害患者群の二重盲検ランダム化クロスオーバー比較試験をする。2. 脳MRI(形態画像)解析による愛着障害の神経基盤の解明 愛着障害患児の脳形態学的異常の有無をVoxel Based Morphometryを用いて明らかにする。3.顔表情認知課題fMRIによる愛着障害の神経基盤の解明 顔表情認知課題神経賦活の側面からfMRIを用いて比較検討する。fMRI用認知課題の開発およびfMRIデータ画像統計解析を行う。4.最終的に得られた成果を、国際日本児童虐待防止会議(名古屋)および日本児童青年精神医学会(浜松)にて発表し、他の研究者との情報交換によりこれまでに得られた成果を検証する。
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Research Products
(20 results)
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[Journal Article] Family based association study of ZNF533, DOCK4 and IMMP2L gene polymorphisms linked to Autism in a Han population in northeastern China.2014
Author(s)
Liang S, Wang X, Zoua M, Wanga H, Zhoua X, Suna C, Xia W, Wu L, Fujisawa TX, Tomoda A.
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Journal Title
J Zhejiang Univ Sci B
Volume: 15
Pages: 264-71
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Effectiveness and tolerability of switching to aripiprazole from risperidone in subjects with Pervasive Developmental Disorders: A prospective open-label study.2013
Author(s)
Ishitobi M, Kosaka H, Takahashi T, Yatsuga C, Asano M, Tanaka Y, Ueno K, Okazaki R, Omori M, Hiratani M, Tomoda A, Wada Y.
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Journal Title
Clinical Neuropharmacology
Volume: 36
Pages: 151-156
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] FMRI study of the reward system of pediatric patients with Reactive Attachment Disorder.
Author(s)
Takiguchi S, Fujisawa TX, Saito DN, Yatsuga C, Kumazaki H, Mizushima S, Aoi T, Kojima M, Naruse H, Koizumi M, Jung M, Kosaka H, Tomoda A
Organizer
International Workshop on Molecular Functional Imaging for Brain and Gynecologic Oncology (Fukui2014: The Fifth International Workshop on Biomedical Imaging)(ポスター発表)
Place of Presentation
Fukui、Yours Hotel Fukui
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