2014 Fiscal Year Research-status Report
『予防犯罪学』の開拓をめざした子どもの被害防止ツールキットの実証実験
Project/Area Number |
25560395
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
原田 豊 科学警察研究所, 犯罪行動科学部, 部長 (10356206)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 修 東京大学, 空間情報科学研究センター, 研究員 (80401305)
雨宮 護 筑波大学, システム情報工学研究科(系), 准教授 (60601383)
冨尾 淳 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10569510)
齊藤 知範 科学警察研究所, 犯罪行動科学部, 主任研究官 (10392268)
山根 由子 科学警察研究所, 犯罪行動科学部, 研究員 (80721175)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 予防犯罪学 / 被害防止 / 地理空間情報 / 衛星測位 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、初年度に機能強化した被害防止ツールキットの試験運用をさらに進め、そこから得られた知見に基づいて、実用化に向けて克服すべき課題とその解決策を検討した。その結果、(1)専用のプログラムによるインストールの支援、(2)32-bit・64-bit両方の環境への対応、(3)Windows8.1への対応、(4)すぐに試用できるサンプルデータの提供などが喫緊の課題であることが判明したため、これらに対応した改良版(バージョン2.1.3)を平成26年6月に公開するとともに、さらに実用性を高めた次期バージョンの開発にも着手した。 改良版ツールキットの有効性を検討するため、県教育庁や市役所などが主催する研修会でツールキットの実習および参加者への質問紙調査を複数回実施し、「地図づくりの手間が省ける」が7割、「子どもの事故や被害防止」や「通学路の安全点検」に役立つとの回答が過半数など、強く肯定的な回答が得られた。これらについて国内・国外の学会で複数の研究発表・招待講演を行った。 並行して、昨年度実施した準天頂衛星初号機「みちびき」による測位精度改善効果に関する検証実験のデータ分析結果を学会発表し、東京大学空間情報科学研究センターから優秀研究発表賞を授与された。さらに、平成27年2月には、第2回目の検証実験を池袋駅周辺で実施し、本研究のツールキットの準天頂システム対応化を図るためのデータ収集と分析を進めた。 これらの実績が評価され、文部科学省による「防災教育を中心とした実践的安全教育総合支援事業」、ならびに全国防犯協会連合会による「次世代防犯ボランティア育成プログラム」において、本研究で開発した被害防止ツールキットを取り入れることが決定し、平成27年度からの実施に向けた準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画では想定していなかった、準天頂衛星初号機「みちびき」による測位精度改善効果に関する検証実験ならびにデータ分析の報告により、東京大学空間情報科学研究センターから優秀研究発表賞を授与された。さらに、昨年7月に発足した「高精度衛星測位サービス利用促進協議会」の主催による公開シンポジウムなど、準天頂衛星システム関係の研究会・講演会などでも多くの発表の機会が得られた。これらの受賞や講演などの実績により、今後、本研究のツールキットを準天頂衛星システムに対応させるための強固な基盤を築くことができた。 平成26年度に相次いで発生した子どもの連れ去り事件などを受け、文部科学省による「防災教育を中心とした実践的安全教育総合支援事業」や、全国防犯協会連合会による「次世代防犯ボランティア育成プログラム」などのなかで、子どもの犯罪被害防止のための新たな枠組みが発足した。本研究の成果がこれらの事業の一環として採用されたことにより、平成27年度以降、全国レベルでの実用化と普及を図るための、はっきりとした見通しを得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、初年度・第2年度に実施した調査・分析およびシステム開発の結果を踏まえ、実用化に向けた課題と解決策の解明を行う。とくに、文部科学省の「防災教育を中心とした実践的安全教育総合支援事業」および全国防犯協会連合会の「次世代防犯ボランティア育成プログラム」に、本研究の成果が採用されたことを踏まえ、これらの事業のなかでの試験運用を通じて、ツールキットの運用コスト、利用者支援の仕組み、地域行政・民間事業者との連携手法などを検討し、実用化に向けた課題を明らかにする。 あわせて、本ツールキットを準天頂システム対応とするための要件についての検討をさらに進め、その結果に基づいて「高精度衛星測位サービル利用促進協議会」の場などで提言を行う。
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Causes of Carryover |
研究補助員による資料整理・データ入力などの作業が当初見込みより少なくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度から新たに開始される文部科学省・全国防犯協会連合会の事業での試験運用に伴う、資料整理・データ入力の経費、ならびに研究成果発表および報告書・マニュアル類の作成に要する経費に充当する。
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Remarks |
【受賞】 CSIS DAYS2014優秀研究発表賞、原田豊・齊藤知範・山根由子、発表題目「車載型ビデオカメラを活用した準天頂衛星システムの測位精度改善効果の可視化と計量分析」、2014年11月22日
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Research Products
(9 results)