2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25560402
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小林 資正 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (40116033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古徳 直之 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (20362618)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 標的同定 / プローブ分子 / 生物活性物質 |
Research Abstract |
微量にしか保有しない活性物質や足がかりとなる適当な官能基を持たない活性物質でも簡便にプローブ分子へと誘導できる手法の確立を目指して、高反応性化学種を用いた官能基非依存的な結合形成反応によって誘導化することを検討し、高反応性化学種の前駆体としての3-aryl-3-trifluoromethyldiazirineと、Huisgen反応によりビオチンなどのタグを導入可能な末端アルキンを導入したプローブ分子素子を開発した。また、単純な構造を有するモデル化合物を用いて結合形成反応の条件検討を行い、反応溶媒や濃度、温度などについて最適化を行った。 また、プルダウン実験の際に非特異的に付着したタンパク質を排除して標的タンパク質のみを選択的に捕捉・検出するため、緩和な条件で化学的に切断が可能な化学構造をリンカー部分に組み込んだ新しいプローブ分子の合成と機能評価を行った。いくつかの官能基について検討した結果、過ヨウ素酸処理で切断できる1,2-ジオールを組み込んだものが比較的良好な結果を与えることを見いだした。実際にこれらの知見を、当研究室で見いだした血管新生阻害物質cortistatin Aの標的同定に応用した研究も開始している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
官能基非依存的な結合形成反応による誘導化を可能とするプローブ分子素子を開発し、実際にモデル化合物を用いた検討において分子中の様々な部位で共有結合を形成できる能力を有することを確認できた。緩和な条件で化学的に切断が可能な化学構造を組み込んだプローブ分子の開発も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
官能基非依存的な結合形成反応を用いた誘導化について、3-aryl-3-trifluoromethyldiazirine以外のものについても検討し、さらに優れたプローブ分子素子の開発を目指す。また、研究室で見いだした種々の生物活性物質について本方法論を適用し、標的分子を十分に捕捉できるかどうか検討を行っていく予定である。具体的には、抗腫瘍性海洋天然物furospinosulin-1に対して本法の適用を計画しており、プローブ分子への誘導が可能な官能基を持たない本化合物のプローブ化と標的タンパク質の選択的な切り出しについて検討することで、その有用性を検証する。すでに検討を開始しているcortistatin Aの標的同定についても並行して進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
プローブ分子素子となる化合物の原料が、計画時点では多くの反応工程をかけて合成しなければ入手できなかったものだったが、市販品として比較的安価に入手できるようになったため、予定より少額の消耗品費で研究を進めることができた。 次年度は、今年度で開発したプローブ分子を用いた実際の機能評価やプルダウン実験が中心となるため、細胞培養用試薬やプルダウン実験用のアフィニティー樹脂などの高価な消耗品類を購入し、研究を進める。
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