2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25560419
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
井本 正哉 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (60213253)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ホヤ / 脊索管形成 / 14-3-3 / UTKO1 |
Research Abstract |
我々はがん細胞遊走阻害物質UTKO1がホヤの脊索の管形成を阻害することを見出した.本研究ではUTKO1を用いたケミカルバイオロジーの研究手法でUTKO1の標的タンパク質である14-3-3の脊索の管形成への関与を明らかにするとともに,アダプタータンパク質である14-3-3のクライアントタンパク質を同定することでホヤの発生における脊策管形成の分子機構の一端を明らかにすることを目的とした.まず,UTKO1が14-3-3 に直接結合しているのか調べることにした.大腸菌よりGST融合型タンパク質として精製した14-3-3タンパク質(ea, eb, r1, r2)をBiotin 標識体UTKO1と混合し,Avidin Beads を用いて結合してくるタンパク質をpull-down した.その結果,UTKO1は14-3-3eaと強く結合していることを確かめた.次に,このUTKO1の標的である14-3-3が本当に脊索管形成に寄与しているのか検証することにした.そこで,14-3-3 eaのMO(Morpholino antisense oligonucleotide) を用いて14-3-3 eaをノックダウンしたところ, UTKO1同様に脊索管形成が阻害されたことから脊索管形成には14-3-3ea が関わっていることが示唆された.次にUTKO1誘導体を用いた構造活性相関試験を行うことで,UTKO1のどの部位が脊索管形成の阻害活性に関与するのか調べることにした.その結果,UTKO1の4位の水酸基及び11位のメチレン基が脊索管形成の阻害活性に重要な役割を果たすことを見出した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標とした①UTKO1と14-3-3の結合,②脊索管形成における14-3-3 の関与,③UTKO1誘導体を用いた構造活性相関試験については全て,極めて順調に研究が進行している.
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Strategy for Future Research Activity |
14-3-3はアダプタータンパク質であり,クライアントタンパク質に結合してその機能や細胞内局在などを調節する.そこで,14-3-3と結合してホヤ脊策の管形成を制御するクライアントタンパク質を同定する. ① 受精後16時間後のホヤの破砕抽出液にGST-14-3-3アイソフォームを添加し,GSHビーズを用いたプルダウン法で14-3-3結合クライアントタンパク質を回収する.それらをSDS-PAGEで分離し,TOF-Massで同定する. ② つぎに,同定したタンパク質が実際に脊策の管形成に関わっていることを検証するために,同定したクライアントタンパク質のモルフォリノオリゴを用いてノックダウン実験を行い,受精21時間後の脊策の管形成を阻害することを確認する. ③ UTKO1による脊策の管形成は,UTKO1が14-3-3に結合することで14-3-3とクライアントタンパク質の結合が阻害され,その結果クライアントタンパク質の活性化が抑制された結果と考えられる.そこで,受精後16時間後のホヤの破砕抽出液にホヤGST-14-3-3アイソフォームとUTKO1を加え,GSHビーズによるプルダウン法で14-3-3を回収し,クライアントタンパク質との結合が阻害されていることを確認する.必要に応じて,14-3-3以外のタンパク質についても同様の実験を行う.次にUTKO1結合タンパク質の局在評価 を行なう.方法は免疫染色もしくはin situ hybridizationをおこなう.そのため脊索細胞内での局在まで特定できれば,脊索細胞の移動か,もしくは脊索細胞の極性にかかわるものか,などを示唆するデータとなると考えている.この研究を実施するためにホヤ14-3-3アイソフォーム特異的抗体が必要であるのでその作成を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究遂行のための消耗品が予定より安価で手に入ったため、次年度使用額が生じた。 次年度の研究遂行に必要な消耗品の購入に使用する。
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Research Products
(10 results)