2014 Fiscal Year Annual Research Report
ケミカルフェノミクスによる植物のサイズを制御する低分子化合物の探索
Project/Area Number |
25560421
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
栗原 恵美子 独立行政法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 特別研究員 (90639585)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ケミカルバイオロジー / フェノタイプ解析 / 青色光 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、化石燃料の枯渇問題や、地球温暖化等の環境問題に対する解決策として、植物バイオマスを利用した炭素循環型社会の形成が進んでいる。本研究では、バイオマスの効率的な利用のために、バイオマスの増産を目的とした。目的を達成するために、低分子化合物ライブラリを処理し、植物の表現型を網羅的、かつ、定量的に解析することで、有用な低分子化合物を探索した。まず、シロイヌナズナ種子にケミカルを添加した後、青色光下で3 日間培養し、自動撮影顕微鏡で観察、全体の画像を取得・評価した。客観的かつ迅速に評価を行うために、本研究に対して開発した計算プログラムを用いることにより、植物全体、子葉、種子に関して周長、面積等の22項目について定量的な数値を自動で算出することが可能となった。その中から植物の成長を評価するために、①植物の全長、②葉の大きさをあらわす2項目を選択して作成した散布図について、4エリア(①:②=長:大、長:小、短:大、短:小)に区分した。その結果、植物の全長、葉の大きさともに増大する(長:大)フェノタイプを示す適格な候補を選抜できなかった。次に、本研究では植物が伸長し、子葉の面積が小さい(長:小)、青色光非感受性の個体に特徴的なフェノタイプを持つエリアに着目した。特に著しい差異を示した低分子化合物の#203を候補とし、以後の解析を行った。青色光下では、通常は植物の伸長が抑制されるが、#203を添加すると、植物の胚軸が約2.7倍程度、伸長が亢進した。他の光条件下ではコントロールと差異を示さなかった。また、2種の#203の類似化合物を処理したときには、青色光下でも胚軸の伸長は見られなかった。#203およびその類似化合物について遺伝子発現解析を行ったところ、#203のみ青色光受容関連遺伝子の発現に変化が起こらないことが明らかになった。現在、#203に結合する候補タンパク質の同定を試みている。
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