2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25560437
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
高島 一郎 独立行政法人産業技術総合研究所, 人間情報研究部門, 研究グループ長 (90357351)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 脳活動 / 乳酸 / グルコース / 膜電位イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、脳賦活化の指標という観点から、乳酸を全脳的に経時計測することに挑戦するものである。前年度の研究で、脳灌流液中のグルコース濃度を低下させると乳酸産生が増えることが観測されたが、グルコース濃度を基に戻すと乳酸産生もベースラインに戻る場合と戻らない場合があり、血糖値操作の乳酸産生への影響が一過性であるか履歴効果を持つものであるのか検証を続けた。その結果、グルコース濃度15mMの状況から短期間(<10min)10mMに低下という条件では、一過性に上昇した乳酸濃度がベースラインに戻るが、さらに5mMまでグルコース濃度を落とすと、乳酸産生量のベースが上がりその乳酸レベルが維持されることが明らかになった。この場合でも、5mMグルコース濃度で消失した神経活動は15mMグルコース濃度に戻すと復活した。また、脳神経活動と乳酸変動の時間応答解析に関しては、実験チェンバのバッファ容積が乳酸計測の時間分解能を律速しているという課題が判明した。そこで本年度、脳頭蓋形状を模擬するシリコンモールドを試作評価し、バッファ容積を極限まで小さくすることで、ウォッシュアウト時定数を1min以下にまで短縮した(従来は9min)。脳活動をトリガーとする乳酸応答の時間応答特性を解析した結果、外側嗅索へのシータバースト電気刺激の後、乳酸応答は刺激後1min以内に始まり、減少から増加に転じるという2相性応答を示すことが明らかになった。さらに、脳への負荷が小さい一過性の低血糖状態をつくり、この期間中に脳へ電気刺激を与え、惹起される神経応答と乳酸応答を同時記録した。その結果、複雑な乳酸変動パターンが記録されたが、その変化は、血糖値変化/脳賦活化という2つの実験的操作の相乗によるダイナミックな応答として説明可能なものであった。
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Research Products
(3 results)