2014 Fiscal Year Research-status Report
電力の国際的貿易が地域と国内の安全保障に与える影響の特定と緩和策の提案
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25570003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中山 幹康 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (10217945)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 / アラブ首長国連邦 / エネルギー / 安全保障 / 電力 / 貿易 |
Outline of Annual Research Achievements |
マスダール科学技術大学(在アブダビ,アラブ首長国連邦)との共同研究を推進し,大学院生の派遣,共同セミナーの開催(東京およびアブダビ)等の活動を行った.共同研究の枠組では,以下の局面について解析を進めた:(1)再生可能エネルギーによる大規模な電力開発が「固定価格買い取り制」により実施される場合の国内での安全保障への影響,(2)欧州に於ける電力貿易の実態と安全保障上の配慮(3)開発途上国が相互に電力貿易を開始する場合に生じる安全保障上の懸念. アイスランド大学,アイスランド国立電力会社,マスダール科学技術大学との共同研究として前年度に開始した,アイスランドから英国などの欧州諸国への送電計画については更に解析を進め,その実現を阻む要因を,内政および外政の観点から分析し,学術論文として公刊した. 南アジアで計画されている,キルギスタンおよびタジキスタンからアフガニスタンおよびパキスタンへの送電計画について,タジキスタンでの内政および外政の観点からの分析を進め,計画に対して強硬に反対しているウズベキスタンを同意に向かわせるために考えられる施策について,学術論文として公刊した. 電力を輸出する国に於ける電力開発に起因する国内の安全保障上の懸念について,ラオスでの水力開発事例に関して現地での調査と聞き取りを行った. また,電力貿易に関わる問題を研究している国際応用システム解析研究所(在ウィーン)および電力貿易が実践されているEUの事務局(在ブリュッセル)において,聞き取り調査を実施すると共に,本研究から得られた知見の妥当性について意見を聴取した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アイスランドと欧州諸国間での新規の電力貿易,中央アジアでの新規の電力貿易などの事例についても研究が順調に進捗した.学術論文1報が公刊され,更に1報が投稿されるなど,研究成果の発信も順調に進んだ.マスダール科学技術大学との共同セミナーがアブダビと日本で開催され,共同研究の成果が提示された.日本でも公開セミナーが開催され,研究成果を社会に向けて発信した.
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Strategy for Future Research Activity |
電力の国際的貿易が地域と国内の安全保障に与える影響に関する専門家会合を日本で開催し,研究から得られた知見の妥当性を検証する. 地域への安全保証への影響を解明し対応策を案出するべく,欧州,南アジア,中央アジアで推進されつつある広域な送電網による電力貿易が地域の安全保証に与える影響を,数理手法と政治学的観点から分析し,安全保証の悪化を回避あるいは提言するための施策を学術論文として投稿する. 「国内送電網の海外との接続」を推進している国内外の機関でのヒアリングを実施し,国際的な電力貿易が地域的な安全保障に与える影響に関して,各機関の見解を把握する.
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Causes of Carryover |
出張を予定していた研究者の急病により,出張が中止された為.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予定されていた出張を実施する.
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Research Products
(6 results)