2015 Fiscal Year Annual Research Report
東西交流史の新たな視角:メキシコ史研究から見る東・東南アジアの文化変容
Project/Area Number |
25570006
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮原 曉 大阪大学, グローバルコラボレーションセンター, 教授 (70294171)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 幸孝 専修大学, 文学部, 教授 (20399075)
伏見 岳志 慶應義塾大学, 商学部, 准教授 (70376581)
立岩 礼子 京都外国語大学, 外国語学部, 教授 (80321058)
菅谷 成子 愛媛大学, 法文学部, 教授 (90202126)
ヒメネス ホアンラモン 滋賀県立大学, 環境科学部, 准教授 (10525281)
野上 建紀 長崎大学, その他部局等, 准教授 (60722030)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | メキシコ / フィリピン / 中国 / 文化変容 / 農作物 / パイナップル繊維 / イエズス会 / 翻訳 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、前年度までの共同研究に基づき、1.メキシコ-フィリピン-中国大陸間のモノと技術の伝播と受容、2.文化の受容に伴う「翻訳」「編集」、3.東アジア・東南アジアにおけるキリスト教の受容に関して、今後の研究に向け、論点の整理を行った。 メキシコとフィリピンの間の貿易では、サツマイモ、タバコ、トウモロコシ、カカオなどの農作物がもたらされたが、フィリピン諸島での受容、および利用のされ方は、作物ごとに異なっている。こうした作物の受容のされ方に関しては、フィリピン・ルソン島北部を探査したスペイン人の記録とともに、民族誌的資料の重要性が確認された。またこうした作物は、中国福建省とフィリピン諸島において混植されることが多く、作物の組み合わせが持つ意味についても今後検討すべき課題であることが明らかとなった。 新大陸起源の個別の作物では、「ピーニャ」と呼ばれるパイナップルの繊維としての重要性がわかってきた。「ピーニャ」は、フィリピン諸島において、中国産の絹に対抗するためのヨーロッパ向け輸出品として生産されたが、その担い手となったのは、都市部に居住する中国系メスティソであった。このことは、織物の職人が中国系メスティソであったことを意味するのではなく、機織り機の所有者、デザイナー、地域における消費者が中国系メスティソであったことを意味する。19世紀以降、繊維は国際貿易の中心となり、綿製品の機械生産に伴い、ピーニャ織物は衰退する。これまで本研究では、磁器などの奢侈品に関心を払ってきたが、そうした交易品に加え、繊維を一つの軸に加えることで、文化の受容、翻訳、編集に関する鮮明なビジョンが描けるものと考えられる。 さらに本共同研究では、東アジア・東南アジアに派遣された修道士、特にイエズス会士がモノや技術の伝播、翻訳、編集に重要な役割を果たしてきたことが明らかになった。今後の研究の焦点としたい。
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Research Products
(15 results)