2013 Fiscal Year Research-status Report
近代産業遺産としての捕鯨の記憶ー捕鯨問題と文化多様性
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25570010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
赤嶺 淳 名古屋市立大学, 人間文化研究科, 准教授 (90336701)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 未花子 北九州市立大学, 地域共生教育センター, 特任講師 (60507151)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 聞き書き / 産業遺産 / ノルウェー / 海獣利用 / 南氷洋 / 近代捕鯨 / 食生活 |
Research Abstract |
研究代表者の赤嶺淳は研究協力者の櫻井敬人(太地町歴史資料室学芸員・ニューベッドフォード捕鯨博物館顧問学芸員とともに、かつてノルウェーの南氷洋商業捕鯨基地として有名なサンデフィーヨルド(Sandefjord)の捕鯨博物館を訪問するとともに、同博物館が開催した4th Symposium on Whaling and History, June 20th – 21st 2013に参加し、ノルウェー式近代捕鯨史とその歴史の継承に関する資料収集をおこなうとともに、関心をおなじくする研究者との意見交換をおこなった。また、サンデフィーヨルド市内にて、産業遺産としての南氷洋捕鯨の伝承についてインタビューを中心とした予備調査を実施した。 櫻井は、オーストラリアのシドニーにおいてAustralian National Maritime MuseumならびにAustralian Museumにおける捕鯨産業の展示と収蔵品の調査をおこなうとともに、パースのWestern Australian Maritime MuseumとWhale Worldにおいて捕鯨産業の展示と収蔵品ならびに現代的鯨類利用に関する調査をおこなった。 研究分担者の山口未花子は、沖縄県八重山地域における海獣類の利用について、フィールド調査を実施し、昔話や漁場、調理法などについて聞き取りをおこなった。また、図書館や博物館においても関連する文献資料を収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内における聞き書き調査は、捕鯨問題のさらなる国際政治課題化にともない、語り手との信頼醸成につとめ、現在、様子をみている段階である。他方、海外における捕鯨産業の展示の研究については、研究協力者の櫻井を中心に勢力的に進められており、ノルウェーとオーストラリアと有効な関係性を構築することができた。その成果は櫻井が企画した太地町立くじらの博物館の特別企画展『海を越える太地 Taiji on Distant Shores』(2014年2月-3月、日本財団助成事業)においても、一部、結実している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、海外の有名な海事博物館や捕鯨博物館との連携をはかるとともに、国内での聞き書きをおこなうこととする。2014年4月に研究代表者と分担者の山口が、ともに研究機関を異動したため、あらたな研究環境において、本研究に即した研究体制を迅速に構築するよう最大限、努力する。そのうえで、代表者の赤嶺は、北海道網走市の商業捕鯨業者と日常的にコンタクトをとっており、2014年度は網走市(オホーツク海)におけるツチクジラ漁の調査を実施する予定である。山口は、東日本大震災の被災地である石巻市牡鹿半島における祭りの復興における捕鯨活動の役割について調査を実施する。また、地域で捕鯨産業に係わる人びとについても聞き取り調査をする予定である。 研究協力者の櫻井は、米国マサチューセッツ州・ニューベッドフォードの捕鯨博物館において、かつての木造捕鯨船の改修とその捕鯨船を資料として展示する野外博物館構想についての調査研究をおこなう。
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Research Products
(13 results)