2013 Fiscal Year Research-status Report
被差別部落女性をめぐる差別構造とエンパワーメントプロセスに関する研究
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25570020
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
熊本 理抄 近畿大学, 人権問題研究所, 准教授 (80351576)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 被差別部落 / 女性 / ライフヒストリー / 差別 / 交差性 / エンパワーメント |
Research Abstract |
被差別部落女性たちが被っている差別や排除の実態を、性・人種・階級などのからみあいの構造と社会的権力関係の視点から解明するとともに、差別からの解放としての被差別部落女性たちのエンパワーメントの過程に関する検討を行うため、初年度は、8月および3月に、福岡県の被差別部落女性のライフヒストリー・インタビューを実施した。ライフヒストリー・インタビューに関しては、個人情報が含まれるため、その扱いには特別に注意を払いながら、文字起こしおよびデータ化して分析の準備を進めている。 ライフヒストリー・インタビューで得られたデータを補完するための、研究対象地域における歴史書、生活実態調査報告書、部落解放同盟の活動方針書や活動報告書、被差別部落女性たちによる識字文集などの資料および文献収集、施設職員や部落解放同盟活動家等へのインタビューを実施した。 本研究では、調査者である研究代表者が自らの立場性を明らかにしながら、調査対象者である被差別部落女性たちとの相互行為として構築されるライフヒストリーを重視する「対話的構築主義アプローチ」を採用するため、現場の実践者たちと連携しながら、調査ならびに分析を進めていくという協働参加型の調査を行う方法論を採用しており、調査方法論について検討を行う重要な機会となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度の研究計画は、1.部落解放運動における「差別」概念と「エンパワーメント」概念に関する文献レビュー、2.被差別部落女性へのライフヒストリー・インタビュー調査、3.インタビューのデータ起こし、であった。 2.と3.については、計画どおり進展した。 1.の文献レビューについては、部落解放運動における「差別」概念と「エンパワーメント」概念に関する文献研究、ならびに、ブラック・フェミニズム、あるいは、critical race feminism が展開してきた性、人種、階級、ナショナリティなどのからみあいと社会的権力関係についての思想的達成についての文献研究を行なうことを計画していたが、やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
1.ブラック・フェミニズム、あるいは、critical race feminism が展開してきた性、人種、階級、ナショナリティなどのからみあいと社会的権力関係についての思想的達成について文献研究を行なう。 2.日本の部落解放運動における「差別」概念と「エンパワーメント」概念に関する思想史的展開について、文献研究を行う。 3.収集したライフヒストリーの分析を行い、被差別部落女性たちの状況を決定づけている条件、彼女たちが被る差別を生み出している要因とそれらが生み出される過程、差別からの解放としてのエンパワーメントのありようと過程を解明する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ライフヒストリー・インタビューの実施が3月中旬となったため。 ライフヒストリー・インタビューを3月中旬に実施した。
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