2014 Fiscal Year Annual Research Report
被差別部落女性をめぐる差別構造とエンパワーメントプロセスに関する研究
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25570020
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
熊本 理抄 近畿大学, 人権問題研究所, 准教授 (80351576)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 部落問題 / 女性 / 差別 / ライフヒストリー / 主体性 |
Outline of Annual Research Achievements |
人類学や社会学の分野で用いられているagency概念が含意する歴史的・社会的文脈や、多層的な共同性や他者との関係性といった側面を付加した概念を「主体性」と定義し、被差別部落のシングルマザーの主体性形成のプロセスについて考察し、論文を執筆した。 部落解放同盟の公式文書である運動方針および綱領、部落解放同盟主催の全国的な女性集会である、部落解放同盟全国婦人集会における討議資料と報告書の分析を行った。部落解放同盟が毎年主催してきた部落解放全国婦人集会が、部落女性が抱える問題に対する認識と、その問題解決に向けた政策対応についてどのように議論してきたのか、部落女性の主体性形成にどのような役割を果たしたかについて考察を試み、論文を執筆した。 被差別部落女性へのインタビュー調査によって収集したライフヒストリーの分析を行い、被差別部落女性たちの状況を決定づけている条件、彼女たちが被る差別を生み出している要因とそれらが生み出される過程、差別からの解放としての主体性形成のありようと過程の解明を進め、論文投稿に向けて準備を進めている。 アフリカ系アメリカ人の女性たちが置かれている状況を分析するに際して、人種、ジェンダー、階級といった抑圧の形態を「追加/足し算」することは、「追加式/足し算分析」(additive analysis)と呼んで批判されてきた。アフリカ系アメリカ人女性たちが展開してきた、性、人種、階級などのからみあいと社会的権力関係についての思想的達成についての文献研究を行い、論文投稿に向けての準備を進めている。
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Research Products
(2 results)