2015 Fiscal Year Annual Research Report
ミクロネシア女性たちのオーラルヒストリーで辿る「南洋伝道団」の遺産の再構築
Project/Area Number |
25570021
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
李 恩子 関西学院大学, 国際学部, 准教授 (50580586)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | オーラルヒストリー / 南洋伝道団 / 委任統治期 / ミクロネシア |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年7月から8月にかけて、かねてから予定していた南洋伝道団の宣教師が建てた教会の一つであるUCCポナペイ教会を訪ねた。その教会で日曜礼拝に参加し、過去の日本との関係についての女性たちの記憶を聞くことができた。また、ミクロネシア連邦という一つの国家にまとめられたそれぞれの州が言語も文化も違うということを実体験できたことは今後の研究の枠組みを拡大、再構成する上で多くの示唆を得ることができた。また、ポナペイ州に本校があるミクロネシア連邦短期大学教授へのインタビューを行った。これにより、この地域に関する多角的な研究の必要性を確認した。今回、再訪したチューク州(トラック島)に旧日本軍本部の近くにあった陸軍病院跡地と海軍病院跡地に建物が残っていたというが分かった。これは次の研究の方向性(国家と生殖、衛生、女性の身体と保健医療)の推進に向けての意味があった。とりわけ海軍病院の跡地が南洋伝道団の第一陣の牧師たちによって建てられた教会の横にあるという発見は宗教と政治(国家)の関係を新たな視座から捉えなおすことができた。またチューク州での「日本人」との間に生まれた人びとへのインタビューは、エスニシティという定義がいかに限界のある概念で再考しなければならないかということを確認した。このことにより、今後この領域における研究がどのような新しい概念と理論が必要なのかという切迫した課題にもなった。
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