2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25580020
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
平山 洋 静岡県立大学, 国際関係学部, 助教 (20244535)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 福沢諭吉 / 時事新報 / 福沢諭吉の真実 / 月脚達彦 / 安川寿之輔 / テキスト分析 / 脱亜論 / 侵略主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
1882年03月01日から1891年09月30日までは、ほぼ網羅的にテキスト化が終了し、2014年09月までに1424編をHPにアップロードした。続く1891年10月01日から1898年09月30日までが最終年度にするべきテキスト化作業であった。当該期間の社説総数は約2200編、そのうち900編程度が既に全集に収録されているため、全集未収録社説は1300編程となる。結果としては最終年度に約800編をテキスト化したため、本研究内での積み残しはおよそ500編である。 研究期間全体を通じて実施した研究成果について話を進める。まず平山洋『福沢諭吉の真実』(2004)以降、現行版全集「時事新報論集」を無制限に福沢の思想とすることはできなくなった。その場合の方向性は、(1)自己の研究の立論を福沢関与の証拠のある社説のみに限る(小川原正道)、(2)全集未収録の社説も福沢関与とみなす(安川寿之輔・杉田聡・坂井達朗・平石直昭・都倉武之)の二つである。(1)では立論の規模が小さくなる恐れがあり、(2)では『福翁自伝』での福沢自身の証言と矛盾する。私が推定した福沢諭吉社説が受け入れられることにより、研究者全体に共通の場が開かれるはずである。 近代日朝関係を主題とした月脚達彦『福沢諭吉と朝鮮問題』(2014)と『福沢諭吉の朝鮮』(2015)は平山の社説判定をある程度評価して立論している。領土拡大の欲求を伴わないという点で平山と一致するが、平山の見るところ石河による社説「対韓の方針」(18980428・昭和版所収)を重要視するところに過誤がある。推定福沢の「朝鮮獨立の根本を養ふ可し」(18980504・全集未収録)は「対韓の方針」への反論として書かれたとも考えられる。 昭和版『続福澤全集』「時事論集」への石河の社説採録は、あくまで1932年の価値意識でなされたことに留意するべき。たとえ福沢の社説であっても、時局にそぐわないものは排除されているのである。
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Remarks |
本研究代表者による「福沢健全期時事新報社説一覧 及び起草者判定」です。福沢諭吉の脳卒中発作前(1898 年 9 月)までの 『時事新報』の全社説・漫言・福沢名著作がリストアップされています。 無署名社説等の起草者判定は現在研究代表者によって進められていますが、 広く一般からの情報を求めてもいます。
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