Historical development of the numbered musical notation in Japan: A reevaluation of the notation from the viewpoint of musical perception and cognition

2016 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 25580025
• Research Institution: Tokyo National University of Fine Arts and Music
• Principal Investigator: 山下 薫子 (坂田薫子) 東京藝術大学, 音楽学部, 教授 (90283324)
• Project Period (FY): 2013-04-01 – 2017-03-31
• Keywords: 数字譜 / 数字唱 / 実践と検証

Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は，日本における数字譜の史的展開を明らかにした上で，その意義と課題について，音楽知覚・認知の観点から再評価することにある。
最終年度の平成28年度には，これまでの研究で得られた数字譜および数字唱の教育的意義と可能性について，研究協力者を得て検証を行った。具体的には，(1)音楽を専攻する大学生を学習主体とした実践，(2)音楽教室における児童を対象とした指導実践，の２つである。
(1)の結果，既存の楽曲について，構造が複雑な部分を数字譜にしたり数字唱したりすることによって，和声進行や調の仕組みが明確に捉えられるようになることが分かった。また，(2)では，既習のピアノ曲や耳慣れた短い歌を数字唱することによって，順次進行と跳躍進行の区別，主音の位置や機能などが理解できることが明らかとなった。
ただし，(2)については，次のような課題も見られている。①高い読譜能力をもつ児童にとってみれば，一度ドレミで感じたものを数字に変換するという作業が強いられることになり，却って難しさを感じる要因となり得ること。②低学年の児童には，まだ数字の概念が定着しておらず，個人差も大きいのに加えて，指づかいを示す数字との混乱を招く恐れがあること。
以上のことから，数字譜および数字唱を実践に幅広く取り入れるためには，指導方法のさらなる改善が必要にはなるものの，調性音楽におけるその教育的可能性は決して小さくないと言える。