2013 Fiscal Year Research-status Report
3Dモデリングシステムを活用した彫刻作品のデジタル造形研究
Project/Area Number |
25580040
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
今井 紫緒 東京藝術大学, 学内共同利用施設等, 講師 (80626838)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 3Dモデリング / 彫刻 / デジタル / 3Dプリント / Freeform / 3Dスキャニング |
Research Abstract |
研究成果の具体的なものとして、25年6月に東京藝術大学美術館陳列館にて開催された「マテリアライジング展」に参加し、作品発表を行った。この展覧会はデジタルファブリケーションを活用した作品及び研究を一様に集めた展覧会である。ここでの展示作品として、これまで事例が無い方法と技術で制作を行なった。作品は楽曲を彫刻に置き換えた作品であり、リアルタイムな動きをデジタル表現として取り入れ、立体作品として成立させることを目的とした。東京大学大学院 情報理工学研究科 知能機械情報学の協力を得てモーションキャプチャ技術によりプロの指揮者の手の軌跡を取得するため、楽曲を指揮してもらいモーションキャプチャにて計測を行なった。計測数値から3Dデータとして形を変換し、時間や音楽といった目に見えないものをかたち(立体物)に置き換えた作品研究である。それら変換した3次元のXYZ座標データを3D造型機にて立体出力を行なった。3D造型機の中でも粉末焼結積層造型システムを活用した。この造形システムは内部構造を表現できるため選択した。同時に造形物の表面処理の研究も試みた。 その他の取り組みとしては作品構想の視野を広げる為、高精細スキャナーから低精度のゲームセンサーとしても使われているスキャナーの本研究への活用の為技術習得をおこなった。 また、研究発表の為の展示計画から国内展示発表会場の選定を行い、26年度に国内での開催を決定した。最終年度の海外展示に向け視察調査予定都市のリサーチを行ないコンタクトを取っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ひとつの成果として、25年度に東京藝術大学美術館 陳列館にて「マテリアライジング展」に参加し、3D彫刻作品を発表できたことである。研究としては若干前倒しになったが3Dモデリングから3Dプリントまでの流れを活用した作品を制作でき、25年度計画していた「3Dデジタルでの造型制作」の課題と展開を確認することができた。 また、数種の3DスキャナーやCADソフトの取り扱い等の技術習得を行なった。3Dモデリングから造形を進めることだけでなく、周辺のデジタル技術を関連づけながら新しい造形方法の発想が可能となった。 「国内外での3D造型作品の視察調査」は国内に関しては実行することができた。3Dデータから3Dプリントでの造形方法だけではなく、形に適した加工技術に関する調査を行なった。国内には世界でもトップクラスの3D技術を持つ製造加工業社が数社あり、元来の製造工程と3Dデータを取り入れた新たな活用方法を模索している最中であり、本研究への協力を取り付けることができた。 「海外の視察調査」は25年度は実行することができなかった。視察は26年度に変更し、視察企業や3D関連展示のリサーチを行なった。
|
Strategy for Future Research Activity |
26年度研究計画として国内での作品展示を10月に予定している。展示に向けて現在進行中の作品制作を行なう。作品は前年度から研究課題として取り組んでいる時間軸を可視化する研究、その他3Dスキャニングシステムを活用する制作を構想している。 また、今年度海外動向の視察として25年度に予定していたオランダ「Freedom of Creation社」へ渡航予定。同時に現代アートの代表都市でもあるロンドンにも訪れ、現代ギャラリーでの3D作品の現状調査や3Dプリンターのショールームの視察を予定している。その際に次年度の海外展示の場所の選定を行なう。 3D技術はこの一年だけでも著しい進歩があり、ただ彫刻作品を3D技術を活用して制作するだけでは、本研究の意義が薄れてしまう恐れがある。技術の進歩の早さの動向に常に目を向けながら、先を見据えた新しい技術や発想を提示していきたい。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
旅費については26年度に海外調査を変更したため、25年度は使用しなかった。 その他の項目は当初より研究制作書作成費として申請しているため、本年度の使用予定は無い。 26年度に海外調査を25年度予定していた計画も含めまとめて使用予定である。
|