2014 Fiscal Year Research-status Report
3Dモデリングシステムを活用した彫刻作品のデジタル造形研究
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25580040
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
今井 紫緒 東京藝術大学, 学内共同利用施設等, 講師 (80626838)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 3Dモデリング / 彫刻 / 3Dプリント / FreeForm / 3Dスキャニング |
Outline of Annual Research Achievements |
研究成果の一つは、海外3D関連施設の視察調査を実行したことである。視察内容としては平成26年9月にロンドンにて開催された3DPrinterShow2014 LONDONへの視察を行った。3Dプリンターや3D関連のファブリケーションを使用したアート作品・プロダクトデザイン・最新応用技術が一堂に会した世界規模の展示会である。続いて、大英博物館日本セクションを訪問し、学芸員松葉涼子氏と収蔵品の3Dデータ化について意見交換を行った。大英博物館所蔵の根付作品約1000体の3Dデータ取得方法およびデータ管理のアドバイスと立命館大学との共同研究の可能性について話し合った。更に、オランダにあるEKWC(European Ceramic Workcentre)を視察訪問した。Artist In Residence施設の作陶用設備に付属した3D関連設備の視察と、EKWC側から3Dデータの陶器陶彫作品への応用事例の紹介と意見交換を行なった。オランダでは他にロッテルダムにてSuidio Minale-Maeda、Vincent de Rijk氏、それぞれのデザインスタジオを視察訪問した。3Dプリンターを使用したプロダクトデザインの事例紹介を受けながら、デザインプロセスの現場視察を行った。今後のプロダクト作品への3Dデータの応用について意見交換を行った。 もう一つの研究成果として、Paris Fashion Week 2015(通称:パリコレクション)での作品発表である。予てより日本人アーティストNoritaka Tatehana氏とオランダ人ファッションデザイナーIlis Van Herpen氏と共同で取り組んできた3Dデータを活用し製作したデザインシューズをパリコレクションにてファッションブランド Ilis Van Herpenより発表した。その3Dモデリングから製造プロセスを研究として請け負った。国外在住デザイナーとのデータによる造形作業構成、データ転送による海外での3D造形出力、第3国からの造形物の三国間輸送を実現した。最終地パリにて現地での造形物の目視確認と展示発表のために滞在訪問した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書にて平成27年度に予定していたデータ輸送の取り組みに関して、実際の展示発表を通して実践することができた。3Dデータ作成段階で、国内外での相互作業を実践した。3Dデータの作成は日本で、3D造形出力はアメリカで、最終的な作品の仕上げと展示発表はフランスでと、予定していたよりもはるかに複雑な工程を経て、世界でも初となる3D造形によるシューズの発表を実現した。今後の3D業界やアート分野において間違いなく実践されるであろう方法を試し、実現できたことは大いに評価できることであると考える。
また海外での3D造形事例や周辺3Dファブリケーションの活用事例のリサーチを経て、我々が日本国内でこれまで手掛けてきた、もしくは携わってきた3D研究対象との比較を行えた。昨今のインターネット等を介して得る情報よりも、生で現時点での世界基準のテクノロジーを確認し意見交換できたことは、今後の研究において非常に有益であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究最終年度の課題としていた海外での展示については、既に平成27年3月フランスパリにてパリコレクションで発表することを実現できた。研究予定を変更し、最終年度の目的を国内での3D作品の発表を行う計画とする。並行して海外での作品発表する機会があれば参加を検討したい。 「見えないものを可視化する、情報の可視化」をひとつの課題に作品制作を継続して行う。また今後の3D関連インフラの進歩を視野に入れながら、それに応じた新しい技術と発想を作品構想の中で提示していきたい。
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Causes of Carryover |
最終年度に予定していた海外での展示発表を、平成26年3月にパリコレクションにて行うことになった。当初は海外発表で作品造型出力費用が発生する予定だったが、この発表では3DSystems社(アメリカサンフランシスコ支社)の協力を得たことで造型費の負担は無くなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度に予定していた国内での展示を行わなかったので、平成27年度は国内での3D作品の発表を行う予定。そのための作品造型出力費ならびに作品制作費に予算を充てる。また海外での発表の機会があれば、実行したいと考えている。
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