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2013 Fiscal Year Research-status Report

Charles Lambのロマン主義作家としての位置付けを見直しする

Research Project

Project/Area Number 25580061
Research Category

Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research

Research InstitutionNara Medical University

Principal Investigator

吉田 泰彦  奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (40145909)

Project Period (FY) 2013-04-01 – 2016-03-31
Keywordsチャールズ・ラム / エッセイ / ロマン主義詩 / ロマン主義的想像力 / コールリッジ / ワーズワス / 懐旧談 / 現代的価値
Research Abstract

平成25年度の目標は,中年になってからエッセイストとしての道を切り開くことに成功したチャールズ・ラムが大成するまでの道程を,伝記的資料,文学テクスト,書簡を精査することによって跡づけることであった.すなわち,同年代詩人コールリッジ,ワーズワスが『リリカル・バラッズ』以降,驚異の10年といわれる奇跡的な発展を遂げている期間に,ラムが発狂を再発する姉メアリと共同生活を送りつつ,エッセイ執筆に乗り出すまでの1810年半ばまでの期間をつぶさに調べることである.しかしながら,この雌伏の期間の調査していく過程で,まずはラムの暫定的な位置づけ,すなわち,現在ロマン主義の正典としての地位を確立している前出詩人たちの業績との比較考量を可能とするような質の高い作品を生み出しているのかどうかを先立って確認すべきとの意識が強くなった.この先行調査の結果次第では,研究の方向が大きく影響を被ることになると思われたからである.
従って,ラムの最も大きな業績である二つのエリア『エッセイ集』を中心として,文学作品としての品質,ロマン主義的特質,さらにはラム文学の本質的な価値といった,申請に先立って直感的に感じ取っていた可能性を具体的に明示し,説得力のある形で言語化することを主目的として再設定することとなった.
この過程で,20世紀批評家たちがラムの欠点として挙げる,散漫性,言葉遊び,人生に対する趣味人的な態度―これらはすべて第一次大戦という過酷な経験を経た知識人には受け入れがたい特徴である―が,ラム文学をよりよく理解するパースペクティブを見いだすことにより,一定程度評価可能な特質として再認識できるようになった.そして,一見すると雑談的懐旧談とみえる物語が想像力的洞察によって組み立てられていること,またそれらは人生の些事ではなく,真剣な探求を示唆することを,学会発表論文にて提示し,そのペーパー版ではさらに詳しく論証した.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

上記のように,結果的に当初の目標とは幾分異なる研究成果となったが,このことは,ラムの現代における評価が十分に高いものとはいえず,これを再評価することが最終目標であること,さらには,次年度目標として設定されていた内容の一部を先取りする形となったことを考慮すればそれなりに正当化されることと考える.
さらには,プラスの効果として,今後の研究方向の焦点がより先鋭化したことにより,より深い研究が可能となったと思われる.

Strategy for Future Research Activity

前年度目標のやり残した部分を達成すること.また,これと一部関連する部分でもあるが,雌伏の時期を含めて,メアリーとの共同生活が果たした積極的意義を探り,それがラムの作品にどのように反映しているかを確認すること.これは,すでに,2000年頃を境にコールリッジ,ワーズワスに関する従来のフロイト的家父長的性格というべき唯我独尊的孤独の探求の詩人像とは異なる友情,交際,恊働といった側面に光を当てた研究動向が生まれつつあることと大いに関係している.ロマン主義の中心的作家に対するアプローチに変化が生じている以上,彼らとの密接な交流を生涯保ったラムの私人として,作家としての探究に調整を施すことは必要と考えるからである.さらには,これにともなって,かつては自然詩人と結びつけて研究されてきたピクチャレスクのテーマも,ラムの都会的風景との接点が見いだせる潜在的可能性を感じている.

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

小額が残り,これに見合う適当な購入物品が見つからなかった.
次年度の書籍購入に充てる予定.

  • Research Products

    (3 results)

All 2014 Other

All Journal Article (1 results) Presentation (1 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] ロマン主義作家としてのチャールズ・ラム2014

    • Author(s)
      吉田 泰彦
    • Journal Title

      HUMANITAS

      Volume: 39 Pages: 35-57

  • [Presentation] チャールズ・ラムのロマン主義的特質

    • Author(s)
      吉田 泰彦
    • Organizer
      イギリス・ロマン派学会 第39回全国大会
    • Place of Presentation
      安田女子大学(広島県広島市安佐南区)
  • [Remarks] 奈良県立医科大学機関リポジトリGINMU (ロマン主義作家としてのチャールズ・ラム)

    • URL

      http://hdl.handle.net/10564/2687

URL: 

Published: 2015-05-28  

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