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2014 Fiscal Year Research-status Report

Charles Lambのロマン主義作家としての位置付けを見直しする

Research Project

Project/Area Number 25580061
Research InstitutionNara Medical University

Principal Investigator

吉田 泰彦  奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (40145909)

Project Period (FY) 2013-04-01 – 2016-03-31
Keywordsチャールズ・ラム / ウィリアム・クーパー / キリスト教的世界観 / 視覚的・絵画的表現 / ウィリアム・ギルピン / ピクチャレスク / ロマン主義的想像力 / ワーズワス
Outline of Annual Research Achievements

平成26年度の目標は,以下の二点であった.1ラムの人生における重荷であり,文学的達成の足枷とみられていたメアリーとの共同生活が果たした積極的意義を探ること.2従来ロマン主義詩と結びつけて研究されてきたピクチャレスクのテーマも,ラムの都会的風景との接点が見いだせるかどうかを探ること.前者に関しては,メアリーの作品からドロシーの日記の場合ほど弟ラムの文学性との密接な結びつきを感じとることが困難なことが判明した.また,メアリーとの関係については,文学性そのものに対する再評価の傍証としかならないのではないかとの恐れが強くなった.このようにして第一のアプローチは一旦中断して,第二のアプローチに精力を傾注する決断をした.
ただ,こちらの難点は,ピクチャレスク運動とロマン主義詩との関係性はそれなりに研究されているが,ラムの都会的風景と直接的に結びつくわけではない.三者の関連性を鮮明にするためには,改めてロマン主義詩の揺るぎない特質とは何か,そして,この特質を獲得するためにピクチャレスク運動がどのような役割を果たしたのかを確証する必要があった.そこで,新たな方向を探るべく,新古典主義とロマン主義の狭間に位置するクーパーの詩と書簡を調べてみることにした.
クーパーの代表作である長詩『課題』を中心として,感情的・心理的・経験的内容が視覚的表現に盛られて新古典主義的論理的表現に取って代わる様を確認した. 1彼の世界観の基盤が福音主義キリスト教であること,2彼の人生が挫折続きであったことから生じる葛藤を映像的表象にて表現しようとして苦闘する様,3短詩的情景とはいえロマン主義詩のレベルに近接するほどの絵画的表現の達成,4ギルピン等ピクチャレスク派による視覚の専制を批判して,より精神的,宗教的表現に傾くべきとの主張,この4点を詳細に論じて,彼の視覚的表現法がロマン主義文学の中核と結びつくことを論証した.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

前年度同様,当初の目標とは幾分異なる研究成果となった.とはいえ,ラムの現代における評価がかなり低迷していることを考慮すれば,これを再評価して,すでにキャノン化しているロマン主義文学第一世代の,少なくとも一角に加えようとする試みを成功させるためには,予測していた手法では達成困難であることが判明したためである.より徹底的かつ大掛かりな方針を採っているので,進行にも時間がかかっているが,おおよそ着実に達成しつつあると判断している.

Strategy for Future Research Activity

クーパー詩の特質の解明を通じて,風景あるいは絵画・映像的表象が文学的言説の中心的な担い手として根源的な役割を果たし始めることを確信したので,第2段階として,ギルピンを中心とするピクチャレスク運動,そして,当時流行したウェールズ(リチャード・ウォーナー),湖水地方を探索・案内する旅行記文学(トマス・ウェストなど)の研究分析を通じて,視覚的表現の果たす役割と三者による風景・土地・文化に対するアプローチの相違を明らかにすることによって,『リリカル・バラッズ』で達成されたロマン主義文学の形成に,それぞれが幾分とも異なるやり方で貢献していることを論じる予定.最終的には,ラムの情景描写がロマン主義文学の風景描写と同質の特徴を有することを論証することによって,ラム文学をロマン主義文学の一角に位置付けることを目標とする.

Causes of Carryover

少額が残り,これに見合う適当な物品が見つからなかった.

Expenditure Plan for Carryover Budget

次年度の書籍購入に充てる予定.

  • Research Products

    (3 results)

All 2015 2014 Other

All Journal Article (1 results) (of which Open Access: 1 results,  Acknowledgement Compliant: 1 results) Presentation (1 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] ロマン主義的風景の変遷―ラムへ至る道 その1(クーパー)2015

    • Author(s)
      吉田泰彦
    • Journal Title

      HUMANITAS

      Volume: 40 Pages: 49-76

    • Open Access / Acknowledgement Compliant
  • [Presentation] ロマン主義的風景の変遷 その12014

    • Author(s)
      吉田泰彦
    • Organizer
      関西コールリッジ研究会
    • Place of Presentation
      同志社大学(京都市上京区今出川通り烏丸東入)
    • Year and Date
      2014-11-29
  • [Remarks] ロマン主義的風景の変遷 : ラムへ至る道 その1 (クーパー)

    • URL

      http://ginmu.naramed-u.ac.jp/dspace/handle/10564/3003

URL: 

Published: 2016-05-27  

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