2014 Fiscal Year Research-status Report
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25580062
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
難波 美和子 熊本県立大学, 文学部, 准教授 (50336971)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森本 素世子 東海学園大学, 人文学部, 教授 (70191046)
小松 久恵 追手門学院大学, 国際学部, 講師 (80552306)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | インド英語文学 / 英語圏文学 / インド英語 / インド文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、現代インドの英語文学の現状の確認を行った。年度内に2度(6月、11月)の研究会を実施し、これまでの研究成果を、7月の第47回南アジア研究集会において発表した。 第1回研究会では、これまでに明らかになった、英語文学の大衆化の流れの存在に注目した。英語文学の受容者の多様化とその市場の成熟に伴い、エンターテイメントとしての英語文学が発展している。それは読者層の広がりとともに、読者の英語力の多様化も示している。作家も出版社も多様な読者に対応した作品を送り出しているのである。ヤングアダルト層やその上の年代の若者たちの興味関心、嗜好にあった作品が次々に登場している。このような作品の存在は、英語で読むインドの若者たちの「今」を映し出すものだろう。これまでに行った読書アンケートにおいても、古典的な作家に交じって、Chetan BhagatやDurjoy Dattaという人気作家の名が上がってくる。これはインターネット書店におけるベストセラーリストに端的に表れている。 第2回研究会では、英語文学の大衆化と普及による成熟を確認しつつ、インドの文学言語としての今後のあり方について議論を行った。次年度以降の予定の検討とともに、インド英語の現状について情報交換を行った。その中では、経済発展とともに、新中間層はネイティブ言語による消費生活を充実させてきていることが、英語文学の今後に影響を与えるかもしれないとの意見があった。 次年度の課題として、英語文学の生成に携わる人材(作家または編集者)の招請を来年度に実施し、インドの英語文学の日本における理解を深め、将来像についての議論を深めることとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の終了時に予定していた進行状況にある。資料の収集、追加アンケートも実施した。とはいえいずれも年度末に完了したため、情報整理がまだである。次年度の早い時期にこれまでの研究のまとめを行うことしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の方向性に変更はない。インドの英語文学が成熟し、多様性を獲得していること。特に大衆化の方向性において特徴が表れていることを明らかにしていく。その中でもベストセラーを生み出すものについて、インドの当事者を日本に招聘し、大衆的な文学の指向について、研究交流を行う。作家もしくは編集者を招待する予定である。併せて、インドの英語文学についての日本の英文学者の理解を深めるための講演を行う。
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Causes of Carryover |
研究はほぼ予定通り進行したが、インドでの調査に際して、当初予定していた謝礼が必要が生じなかった。また、書籍購入に際して、入手不能なものが多くあったため、支出が抑制された。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度でにおいて、研究の総括のため、インドからの作家の招聘を予定しており、当初予定したいた額よりも多く必要になることが考えられる。昨年度からの残額は作家招聘の旅費、謝礼、およびそれに伴い講演会の実施に活用する。
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