2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25580076
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
伊藤 加奈子 信州大学, 人文学部, 准教授 (80293489)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
氏岡 真士 信州大学, 人文学部, 准教授 (60303484)
佐立 治人 関西大学, 法学部, 教授 (70340643)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 杜騙新書 / 明清社会 / 中国通俗小説 / 中国近代法制史 / 中国俗語 |
Research Abstract |
中国近世の俗語短編小説集の一つである『杜騙新書』は、事件・裁判物といった公案小説であり、特に詐欺・窃盗を題材とする商人への警告書という特殊な性格を有している。庶民的な世界をリアリティ豊かに叙述し、当時の一般庶民の考え・社会通念を生々しく反映している点が注目される資料であるが、専ら世俗社会を題材としている性格であるからか、これまで中国文学分野では本格的に研究が進んでいない面がある。 この度『杜騙新書』の研究を進めるにあたってはその基礎固めが必須であり、先ず日本各地の機関に散在する『杜騙新書』、またそれに関連する文献資料を、複写依頼により収集作業を行っている。現時点では明刊本・写本・和刻本を中心に作業を進めている。複写撮影依頼先となった機関は次の通り; 国会図書館「新刻江湖歴覽杜騙新書4卷 清張應兪撰」/(財)前田育徳会・尊経閣文庫「鼎刻江湖歴覧杜騙新書四卷 張應兪 明萬歴版 四册」/東京大学東洋文化研究所「江湖歴覽杜騙新書一卷 仁井田-集-N40422」/東京大学総合図書館「天下才子必讀書 十五巻 (清)金聖嘆評選」 複写入手した資料については、散逸しないよう製本化を完了。現在は其々の書誌学的事項を確認している。並びに日本における『杜騙新書』関連資料所蔵先の更なる把握に努めている。 また中国にて出版された『杜騙新書』資料も種々入手を進めており、当時の中国語と現代の中国語共通語との読み合わせを通じて、読解作業を進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度序盤の文献複写収集取りまとめ作業開始間もなく、研究者一名の病気入院があったが、年度中盤に復帰。そのため文献資料複写依頼作業等にやや影響があった。平成25年度中は、中部地方と関西地方在住のチーム研究者全員でのミーティングを持つことができなかったため、資料の検討作業に影響が生じた。 文献資料収集作業に若干の遅れ、研究打ち合わせミーティングを行えなかったことによりやや遅れていると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
『杜騙新書』関連資料の収集を更に進め、書誌学的事項を把握・確認、テキスト分析作業を開始する。 チームを構成する研究者それぞれの専門である中国語学・中国文学・中国法制史といった複数の観点から『杜騙新書』に関する問題点をピックアップし、ミーティングを持ち打ち合わせを行い、検討作業を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初計画していた研究ミーティングの開催が次年度に延期されたため、次年度使用額が生じた。 平成26年度は、文献資料収集作業を継続。また平成25年度に開催予定だったが執り行えなかった研究者全員でのミーティングを開催予定である。
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