2013 Fiscal Year Research-status Report
9、10世紀東アジアにおける宗教儀礼と文学芸能発展に関わる研究の新展開
Project/Area Number |
25580077
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
荒見 泰史 広島大学, 総合科学研究科, 教授 (30383186)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 敦煌 / 法会 / 東アジア / 唱導 / 宗教文献 |
Research Abstract |
本研究は、日本、中国、台湾、韓国の研究者と意思疎通を図りつつ、共同で日本古抄本の整理翻刻作業と敦煌文献の比較研究を行うことを眼目としている。その作業の中心となるのは以下の2点である。 ①日本古抄本など埋蔵資料の翻刻整理を、『正続本朝文粋』、『転法輪鈔』などの表白、願文、説話類から順次手掛ける。翻刻作業は広島大学のグループで行うほか、経験の豊富な浙江師範大学張涌泉氏のグループ、四川大学の研究グループの協力によって質量ともに高い作業が可能となる。そうした作業の段階から海外研究者と共同で行うことによって、相互理解が進むものと考える。 ②敦煌の宗教儀礼文献、講唱文学研究に関しては、中国浙江師範大学の張涌泉氏、温州大学の王小盾氏、台湾南華大学鄭阿財氏、四川大学の何剣平氏らのグループが中国、台湾における中心的研究者であり、日本の中世研究のグループとともに継続的な意見交換のなかで共通認識を模索していく。相互の連絡は電話やE-mailなどの通信機器によるほか、国際研究集会などの場で意思の疎通を図る。必要によっては個別に相互訪問して相談などをおこなう。 25年度は、①においては『本朝文粋』巻第13・14、『本朝続文粋』巻第12、13部分などから順次翻刻整理作業を行った。とくに正続の『本朝文粋』の該当部分の翻刻が終了し、中国の文献との比較検討の段階に入っている。日本人が撰述したものであるが、平仄の整う優れた駢文で書かれたものも多く、また敦煌の願文類と類似する文言も多く残されていることが明らかになりつつある、当初予想していた通り、比較研究においては重要な資料の一つであると考える。②においては、3月15日、16日に台湾国立政治大学で第4回東アジア宗教文献国際研究集会を開催し、鄭阿財氏ら台湾の研究者たち、四川大学の何剣平氏と一堂に会し研究交流をおこなう機会を設けることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
25年度の翻刻作業の主たるテーマとなった『本朝文粋』巻第13・14、『本朝続文粋』巻第12、13部分など、順調に翻刻整理作業が行えている。電子情報の公開という点では、研究者間での電子資料の配布にとどまってはいるが、いずれはインターネット公開を目指していきたい。正続の『本朝文粋』の該当部分の翻刻が終了したことにより、中国の文献との比較検討の段階に入ることもでき、願文類との比較も格段に容易になったと考える。また、本研究課題のもう一つの柱となる第4回東アジア宗教文献国際研究集会も例年通りの日程である3月15日、16日に台湾国立政治大学に場所を借りて開催することができ、鄭阿財をはじめとする台湾の研究者たち、四川大学の何剣平氏と研究交流をおこなう機会を設けることができた。また、今後の研究方針、日程等についても調整することができ、今後も道研究課題を継続すること、近年中に四川大学で東アジア宗教文献国際研究集会を開催することなどが確認された。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度にひき続き、関連資料を捜索し、順次翻刻整理作業を行う。『中右記』、『扶桑略記』などに注目しつつ、翻刻整理を含めて敦煌資料との比較研究を試みてみたい。また必要に応じて原巻写本を参照しつつ、広島大学のグループばかりではなく、中国研究者、とくに四川大学のグループとともに作業を進めていきたい。そのために、年2回程度作業を確認するために中国を訪れ研究打ち合わせを行い、年度末(3月を予定)には研究集会を開催し、作業を行った資料を中心とした議論を行っていきたい。 また翻刻資料及び研究集会の資料は電子資料化とともに小冊子として整理公開していきたい。
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Research Products
(2 results)