2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25580079
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | Yonezawa women's junior college |
Principal Investigator |
加藤 聰 山形県立米沢女子短期大学, その他部局等, 准教授 (10335325)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 郊廟歌辞 / 楽府 / 唐代 / 郊廟祭祀 / 封禅 / 『大唐郊祀録』 / 『楽府詩集』 / 『旧唐書』音楽志 |
Research Abstract |
本研究の中心となる初盛唐期郊廟歌辞の分析への前提として、初年度はまず基礎的資料の整理と分析を重点的に行った。 唐代郊廟歌辞の基本的資料としては、まず『楽府詩集』巻4-7および9-12に収載される歌辞があり、従来の研究はほとんど無批判にこれに依拠してきた。しかし『楽府詩集』と比較しうる資料として他に『旧唐書』巻31-32「音楽志」所収の歌辞群があり、そこでは一連の祭祀儀礼の実際や歌辞歌唱の音楽的状況など、『楽府詩集』が捨象した要素も多く記録される。さらに同時代史料として、唐徳宗時代の礼官、王涇が編纂した『大唐郊祀録』があり、上記2種の資料とはさらに異なる記述がまま見られる。 今年度はまず、これら3種の基礎資料を整理し、その郊廟歌辞収載状況について比較検討した。その結果、① 作品収録について、『楽府詩集』は『旧唐書』音楽志を完全に吸収・利用しているが、その範囲は開元末年以前の作品に限られていること、② 『楽府詩集』収載の天宝年間以降制作に係る作品の資料来源は明らかでないが、少なくとも『大唐郊祀録』は利用された可能性が低いこと、が明らかとなった。さらに、3書が収載する各歌辞の制作年代や作者の異同を分析・考証した結果、『大唐郊祀録』の『楽府詩集』や『旧唐書』音楽志には見られなかったり、両書とは内容の異なる記述には、信頼できるものがまま見られ、従来唐代郊廟歌辞資料としてほとんど顧みられることのなかった『大唐郊祀録』に、その資料として一定の価値があることがわかった。 また今年度後半には、次年度計画の一部を先取りするかたちで、玄宗開元13年に泰山で執りおこなわれた封禅の儀に際して張説が制作した郊廟歌辞楽章の一部について、詳細な訳註を制作した。この訳註は、今後計画されている郊廟歌辞の内容分析の基礎作業の一環として、特に儒家経典および祭祀関係詩文からの典拠を洗いだすことを重視したものである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度計画の内容は、ほぼすべて完了している。また、次年度に予定していた歌辞についての訳註発表も一部開始できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
初年度に行った基礎資料の整理につき、本文校訂についてはひき続き2年目に整理をまとめ、成果を報告したい。 また、開元13年封禅楽章の訳註も今年度中に残り部分を発表し、それをもとに唐代郊廟歌辞作品の基礎的性格を整理検討し、成果を報告するする機会をもちたい。 さらに、上記封禅楽章を軸に、玄宗朝の文学者とそれをとりまく政治環境の分析に着手する予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度計画が予定よりやや進行したため、一部前倒しで第2年度計画分の研究を行った。そのために前倒し請求をしたが、最低額の10万円を請求しても、必要となる資料購入等でそれをすべて使用することはなかった。 当初から第2年度に使用する予定だった研究費のため、予定どおり第2年度研究計画遂行のための資料購入等に充てる。
|