2013 Fiscal Year Research-status Report
子供の文理解の実時間的実験による、文処理における発達的側面の新しい検討
Project/Area Number |
25580086
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
広瀬 友紀 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (50322095)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 即時処理 / 言語発達 / 文処理 |
Research Abstract |
申請書に記した予定通りに、(1)日本語の主語・目的語関係節の構文処理と文脈および意味情報、(2)左右枝分かれ曖昧性の構文処理と韻律情報の、実時間処理における役割を検討する眼球運動測定実験を、6-7歳児および成人を対象に行った。 (1)については、成人と6-7歳児においては、ともに関係節内の主語が無生物である場合のみ、目的語関係節に明らかな理解の困難さまたは処理の滞りが観察されたが、関係節の主語が有生物である場合はそのような傾向はみられず、これまで目的語関係節構造そのものが処理負荷を高めるという主張に再検討の必要があることを示した。この結果を国内外の研究会および年次学会にて発表した。(2)については、複数の条件の組み合わせが計画されており、その途中段階にある。 さらに、上記に加え新たな課題として、新規複合語の実時間処理に関する申請者自身の先行研究を踏まえて、実在語を用いた実験を計画し、上記課題とあわせて6-7歳児および成人に行った。具体的には、複合語アクセント規則の適用が明示的な場合(各要素の語彙アクセントが表面上変化する)と、それが非明示的な場合(各要素の語彙アクセントに表面的な変化がない)において、複合語構造を予測する実時間処理のあり方に差がでることを示し、複合語処理は主要部である後部要素の入力に先立って予測的に行われている可能性を示唆した。この成果を国内外の研究会にて発表し、現在その一部を論文化する作業の途中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に関しては予定通り進み、さらに新しい課題を設定してこれを遂行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
上記一部の実験においては、話速度などの条件を変えて比較検討すべき課題が残ったので、その追実験を行う。また、枝分かれ構造の実験においては、韻律情報と視覚文脈情報の組み合わせ方を変えて追実験を行っている途中であるが、これを完結させ、分析をすすめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
9月に行われる国際学会にて成果報告を計画していたが、幼児被験者を確保することがスムーズにいかず、データ収集を間に合わせることができなかった。 引き続き、計画どおり実験の遂行を行う。昨年度予定していた成果発表は翌年に行う予定である。
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