2014 Fiscal Year Research-status Report
子供の文理解の実時間的実験による、文処理における発達的側面の新しい検討
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25580086
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
広瀬 友紀 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (50322095)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 実時間処理 / 発達 |
Outline of Annual Research Achievements |
成人を対象とした実験に関しては、1. 枝分かれ曖昧構造を持つ名詞句の理解に、韻律情報および視覚文脈が及ぼす影響について、2.複合語構造の予測処理と複合語アクセント規則適用を示唆するアクセント変化情報の関係、3. 関係節(主語関係節・目的語関係節)のオンライン処理について の3つのプロジェクトを遂行し、眼球運動測定実験のデータを得た。
このうち2.については、成人データ単独で国際雑誌論文として出版した。具体的には、名詞複合語前部要素において、複合語アクセント規則の適用の有無が明示的であるアクセントパタンの場合と明示的でないアクセントパタンの場合を比較し、前者においては複合語主要部入力前から複合語構造であること(処理中の名詞がmodifierであること)を示した。
子供を対象とした実験については、上記1,~3について実験を行った。1.については成人と子供(6-7歳)を比較した分析を行い、国際学会で発表を行った。視覚文脈の影響と韻律情報の影響が異なったタイミングで現れうることを示したが、子供においては操作要因への反応のあり方そのものに個人差が大きく、今後の研究でこの個人差をどのように分析するかという課題について、国内外の研究者と情報交換を行っている。また、3.については成人と子供のデータについて国内の研究会で発表を行いつつ、追加実験の構想をすすめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた実験についてはほぼ順調に進んでいる。結果解釈において、一部検討課題が残されたが、国内外の研究者との情報交換を通して新しい分析手法を取り入れることもでき、また一部の結果については国際雑誌に最終年度前年の時点で論文として出版に至ったことから、おむね当初計画より順調に進んでいると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今回のプロジェクトにおいて、成人と子供のデータの比較においてどのような点が課題となるかがより明確となった。子供特有の個人差のありかたそのものに着目した研究について発展的検討を加えていきたい。
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Causes of Carryover |
当初、2015年3月に行われる国際学会にて成果発表を予定していたが、一身上の都合でこの期間の海外出張ができなかったため、成果発表を翌年に行われる別の国際学会に持ち越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年9月に行われるAMLaP2015にて成果発表を行う予定である。このため、研究者本人と、プロジェクトを共同担当している大学院生の旅費に充てる予定である。
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