2014 Fiscal Year Annual Research Report
「日本古典対照分類語彙表」による古典語彙の意味論的歴史的研究
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25580100
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
安部 清哉 学習院大学, 文学部, 教授 (80184216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 泰 専修大学, 文学部, 教授 (70091832)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 対照語彙表 / 分類語彙表 / 計量語彙史研究 / 計量言語学 / シソーラス / 日本語古典文学作品 / 意味分類 / 文体と語彙 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は20年間を越える宮島達夫主導の下、従来現代語のみが対象であったシソーラス=意味分類体系による語彙表を、古典17作品で用例数も併記した形で2014年6月に刊行させた。即ち、国研編の『古典対照語い表』『分類語彙表』の2つの特徴を古典語彙において初めて統合し、異なり語数34,366語の度数と意味分類番号が同時に比較参照可能な“日本古典文学作品対照使用度数および意味分類語彙一覧表”を公刊した。更に続編として宮島編『万葉集巻別分類対照語彙表』編纂にも参画し2015年刊行に至った。これらにより、実例に即し客観的基準による古典語彙の意味史研究のデータ的基礎が初めて構築された。この作成過程での経験とその応用的利用によって以下の研究を推進した(研究協力者・石井久雄氏のご尽力を得た)。①語彙の意味的史的変遷傾向を指摘する道筋を付けることができた(安部(2013.6、2014.3等,「日本語語彙の歴史的構造変化とそこから見た和漢2文体の類型指標」、「シソーラスから見た昭和語彙(雑誌九十種)から平成語彙(雑誌70誌)への意味領域上の語彙変化」)。この「古典語シソーラス」を利用し、②新しい観点からの研究の応用(蓮井論文等)、③現代語「分類語彙表」との対照版など応用版の続編作成(安部ほか(2013.2)「古典分類語彙表(稿)」)、④上代~中世の意味史分析(鈴木論文、久保論文等)、⑤現代語との対照的研究(安部(2014.2)「名詞の変遷――通時的変化の諸相――」)、⑥語彙表を増補するためのデータ作成作業(安部「夜半の寝覚」、石井「とりかへばや」)などの研究を進めた。本研究によって、古典語の新たなシソーラスによる意味史的語彙論研究の新領域を開拓する道筋を付けることができた。今後も、⑦古典作品の増補、⑧表の改編、⑨意味の計量的分析の応用的研究等を実践的に試み、本研究を順次発展させる予定である。
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Remarks |
補助事業期間延長承認:平成226年3月19日
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Research Products
(13 results)