2013 Fiscal Year Research-status Report
Oxford & Cambridge Unionsの討論に見る英語の論述表現
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25580105
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
崎村 耕二 日本医科大学, 医学部, 教授 (50162326)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 論理表現 / 英語の修辞法 / ディベート / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
第一に,本研究の課題に掲げているOxford Union Society (OUS)およびCambridge Union Society(CUS)の成立事情や現在の活動状況,および討論スタイルに関する資料を収集した。大きな活動としては,25年8月14日にCUSとの会合を設定することができたのでPresident 他1名の運営委員に対するプレゼンテーションおよび意見交換を行った。その後,『議論能力の熟達化プロセスに基づいた指導法の提案』(中野美香著)を中心としたParliamentary Debate に関する文献を調査し,現代におけるディベートの実態を把握した。特に「動議」に関する歴史データを調査し,「動議」の特徴と多様性に関する知見を得ることができた。その結果,OUS & CUSにおいては,討論・議論という理知的・論理的な行為の中にも,ユーモア感覚およびユーモアの効果を得るための言語の機能が重視されていることがわかった。 第二に,複数の大学の大学院生をもとに作業グループを編成し,OUS & CUS におけるディベートの模様をホームページおよびYouTubeの動画により調査した。特に,Richard Dawkins, Craig Murray等のプレゼンテーションの一部をスクリプトに起こし,英語の修辞・論理表現を考察した。高度な言語技能の駆使,歴史・文学等に対する allusionに満ちた内容構成,および人間性への洞察を含む英語表現は,Oxbridgeならではの豊かな教養を背景とするディベート文化を作り上げていると考えられる。 第三に,研究計画に掲げていた古代ギリシャ・ローマの文献調査については,文献目録の作成に取り掛かり一部文献の調査を行ったのみで,本研究の課題に照らして貴重な知見を得るに至っていない。しかし,古代ギリシャ・ローマの修辞技法に関する協力者が得られたので今後,研究グループの編成および研究会の開催により,研究を展開していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究活動に関しては3つの大きな成果があった。第一に,CUSとの会合を設定し,25年8月14日にPresident 他1名の運営委員に対するプレゼンテーションおよび意見交換を行ったことは,大きな成果である。また講師招聘の可能性を確保することができた。ただし,具体的な研究者交流等に至っていないので,国内外へわたり関連のある情報・知見を持つ研究者等とのコンタクトを試みることが今後の課題である。第二に,『議論能力の熟達化プロセスに基づいた指導法の提案』(中野美香著)を一つの手引書として,Parliamentary Debate に関する文献を調査することができた。ここで得られた知見をもとにして,第三の取り組み,つまり,作業グループ(大学院生)を編成することによるプレゼンテーションの実例調査を行ったことは,今後の展開へ繋がる大きな一歩である。 得られた知見に関しては,特に,「ディベートにおけるユーモアの重視」という観点を得ることができた。このことは,上記のような,プレゼンテーションの分析によって可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
第一に,研究課題に関心を持つ国内外の研究者の協力を得ることが必要である。OUS または CUSにおける活動に関与したことのあるOxbridge卒業生への聞き取り調査を行うこと,さらに,ヨーロッパの伝統的な弁論・修辞を研究課題とする研究者からの協力を得るための努力を継続する。 第二に,プレゼンテーションの書き取り作業や修辞・論理表現の考察には時間がかかり,複数の作業者が必要であるので,今後,グループの規模を増やして効率的に作業を進める態勢作りが必要である。 第三に,現在の進捗状況に照らして研究会の開催は,3年目の末がもっともふさわしいと考えられるので,研究会へむけての準備的な意味を持つ学習会の開催も必要である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
所属研究機関の移動等により研究計画のうち,図書購入等の経費執行を延期したため。 26年度に図書購入を行う。
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