2015 Fiscal Year Annual Research Report
Oxford & Cambridge Unionsの討論に見る英語の論述表現
Project/Area Number |
25580105
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
崎村 耕二 日本医科大学, 医学部, 教授 (50162326)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ディベート / 論述表現 / 修辞 |
Outline of Annual Research Achievements |
Oxford Union Societyの会長と面談し,日英の参加者によるディベート研究プロジェクトの可能性について論議した。また Cambridge Union Society の 会長およびディベート担当運営委員とも面談し日英の討議の在り方について議論したうえで,3月25日に招聘講師として講演・討議・ワークショップ等に参加していただいた(「パーラメンタリー・ディベート---200年の伝統から何を学ぶことができるか?」)。この研究会においては,まず,Cambridge Unionにおける free speech の精神を,実例をもとに概観し,基本的なパーラメンタリー・ディベートの在り方を確認した。さらに,一方的主張のための討論や,相手を打ち負かすための闘争的言語使用ではなく,討議者双方による意見陳述,また疑問の提示,疑義の展開というプロセスの中で真理が見いだされる,という最終目的が見据えられているかどうかが最大の課題であることが確認され,比較史的な観点で,日本語と英語の論述表現の特徴を考察した。とりわけ大きな成果として見出された事項を次の5項目にまとめることができる。(1)debate, dialectic, parliamentという英語の語源に含まれた「言葉の技術」という観点と政治における討論の発展の歴史との関連。(2)世界の議会における与野党の座席配置のタイプ(イギリス型,フランス型,ドイツ型,北欧型)と,対決・敵対・対峙および協力・協調・友好の関連。(3) 討論における他者の存在の意義,つまり,ロゴスを介し人を通して自分を知る,という相対的真理発見のプロセス)(4)日本の歴史における討論あるいは言語使用の過小評価(安土宗論,現代における「男は黙って」等のキャッチフレーズ)(5)onomatopoeia 等の修辞表現と論理表現の衝突。
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