2013 Fiscal Year Research-status Report
相互理解を促す日中異文化間コミュニケーションの探索-葛藤発生と融和の微視的分析
Project/Area Number |
25580115
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
奥西 有理 岡山理科大学, 工学部, 准教授 (50448156)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 共子 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (40227153)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 異文化間心理学 / 日中異文化葛藤 / 日中異文化間コミュニケーション / 日本人 / 中国人 |
Research Abstract |
本研究は日中間の異文化摩擦とコミュニケーション上の誤解について、その原因と進行メカニズム、および解消方法を探ることを目的とし、異文化接触研究の視点および比較文化研究の視点の双方から検討を行う。その特色は、①研究蓄積の薄い日中間の実証研究の開拓、②欧米理論を超えた新たな理論的可能性の探索、③異文化接触研究と比較文化研究の統合、④質的データと量的データの統合研究による多角的解明にある。日本人と中国人がどのように相互理解を成り立たせ、互恵的関係を構築できるのか、事例に密着した探求を経て理論化を試みるものである。 異文化接触研究の視点からは、職業上日中異文化間の対人接触あるいは両文化間のコーディネートを行った経験のある人材(日本人および中国人)への面接調査が実施され、分析結果から両者の葛藤要因となる文化的差異が明らかとなった。具体的には、日本人からの誤解が生じやすいと考えられる中国文化的特徴として「友人関係」「親への孝心」「面子」などがあったが、これらに関して下位分類を整理したところ、通常日本人が想定する中国人の文化的特徴より、より複雑に分類されることが分かった。 次に、具体的な日中文化葛藤場面を創設し、中国人学生、日本人学生の双方に、葛藤場面における中国人の行動の理由づけを面接法により訪ねたところ、双方間で極めて異なる解釈が行われていくことが分かった。 比較文化研究の視点からは、Hofstedeの価値観調査モジュールをベースにした価値観比較に関するアンケート調査を日中双方の学生約250名に対して行った。5件法の量的調査に加えて、自由記述式調査も実施した。今後、得られたデータに対し量的および質的分析を進めていく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
異文化接触研究の視点から実施した調査に関しては、順調に結果が得られているものの、比較文化研究の視点から実施したアンケート調査については分析に時間を要しており、当初見込んでいた結果整理の段階までは到達できていない。今後、分析を速く進める努力を続けていく。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、質的および量的分析結果を統合し、考察を深めて、日中異文化間心理学の理論構築への足がかりとしたい。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初想定していたよりも、アンケート調査や面接調査の結果分析に時間を要してしまい、作業が停滞した。日中の翻訳ができる適任者をすぐに雇用することができず、作業が年度末までずれこんでしまった。 前年度行った調査の一部をさらに遂行し、アルバイトを雇用して分析を効率よく進めていく。
|