2013 Fiscal Year Research-status Report
ブータン王国の国民総マルティリンガル化言語教育政策の福祉言語学的研究
Project/Area Number |
25580120
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
助川 泰彦 東北大学, 国際交流センター, 教授 (70241560)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ブータン / 言語政策 / マルティリンガリズム / ゾンカ語 |
Research Abstract |
平成25年度においては、まず日本に留学中のブータン人留学生に対する聞き取り調査を4名に対して実施した。その結果、4名とも小学校から高校卒業までにブータン国内での2回以上の地域移動、および隣国のインドへの留学を経験するなどのモビリティを体験し、複数の言語を習得していることが明らかになった。平成25年9月には10日間のブータン訪問を実施した。今回はティンプー、パロ、およびプナカでの学校見学を行うことを中心とした。小学校1年生からゾンカ語とブータン史を別として全教科が英語で教授されており、児童生徒達は学年を重ねるごとにゾンカ語、地方語、および英語を習得し、さらに日常生活を通じてネパール語とヒンディー語にも親しんでいる事実が確認できた。また、ゾンカ語開発委員会の職員に面会する機会が得られ、本研究が調査しようとしている児童生徒の国内移動によるマルチリンガル化計画の正式名称が「National Integration Program」であることが確認できた。国策としての決定時期、開始時期、実施規模などの詳細はまだ不明であるが、面会の中で同プログラムが開始された経緯について政府担当者から貴重な情報を得ることができた。詳細については平成26年度の訪問調査においてさらに聞き取る計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は計画通りに現地訪問を行い、同国西部の主要な都市において教師や児童生徒に会って聞き取り調査を行うことができた。また、元日本留学生の協力を得て、政府の教育政策関係者にも会うことができ、今後の調査のための人的ネットワークを作ることに成功した。同国における調査は急変する気候や交通手段の不備に阻まれることが多いと仄聞するが、初年度においてはそうした不運に見舞われなかったことも幸いした。 理想的には現地において文献資料を収集したかったが、首都ティンプーの最大の書店においてそうした分野の文献が入手できなかったことから、次回はしかるべき手続きを経て王立大学図書館の利用の許可を得ることによって文献の入手に努める必要のあることが分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度はブータン西部のティンプー周辺に集中して調査を行ったので、二年目においてはブータンの教育のもうひとつの中心である東部地域においても調査を行う必要がある。また、ティンプーにおいても初年度で得られた知見に基づいてさらにNational Integration Policyについて精細な調査を行う必要がある。特に、同政策が盛んに行われた1970年代から80年代に義務教育を受けた現在50代前後の市民に対する聞き取り調査と当時の教職従事者に対する調査が肝要である。このためには、ブータン政府からの正式の調査許可を取得することが必要であり、平成26年度前半に周到に関係諸機関と連絡を取って十分な準備をした上で現地調査に出発することを計画している。 なお、急峻な山岳地帯で言語多様性に富んだブータン北部においてもNational Integration Policyの重要性が高いことは言うまでもないが、高地であり交通手段や宿泊設備の問題をクリアする必要があるので、2年目の訪問においては以後のブータン北部調査に備えて情報収集を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ブータン調査旅行費用の算定において見込み額との差異が生じたため。 次年度においてはブータン調査に加えて、日本に新たに留学に来たブータン人留学生への聞き取り調査を続ける計画である。
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