2013 Fiscal Year Research-status Report
英語教育法への新たな視座―日本人英語熟達者の文理解過程の解明と英語教育法への応用
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25580124
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
有路 憲一 信州大学, 全学教育機構, 准教授 (30432181)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 熟達 / 文理解 / 教授法 |
Research Abstract |
本研究の主たる目的に、「英語熟達者の熟達の鍵の特定:英語の熟達度が高い日本人英語学習者はどのように英語文を処理し理解しているのかを、文理解実験を行い明らかにする」を設定している(もう一つの目的「実験結果の英語教育への還元」は、上記の目的が達成された後に行う)。 その目的「英語熟達者の熟達の鍵の特定」を達成するための方策として、日本人英語学習者を対象にした、大規模な文理解実験(オフライン実験とオンライン実験)を実施することを予定している。 研究計画調書にも記してある通り、第二言語(英語)の文理解実験において言語学的に統制され、学習開始時期・熟達度までを考慮した実験はあまりない。そのため、実験を行い熟達の鍵を特定するためには、第二言語学習者の詳細な分類分けによる被験者の選定と分類が肝要となる。 そのような背景を受けて、平成25年度は、分類基準(1)学習開始時期、(2)熟達度、そして(3)文理解時の処理容量(ワーキングメモリ)を分類基準とした実験参加候補者(被験者)の選定および分類を行った。被験者対象は、英語学習の経験を持つ18歳~24歳の男女。98名を無作為に選定し、英語の学習開始時期を調査し、早期[early acquisition](現時点では12歳前)と非早期[late acquisition](現時点では12歳以降)の二群に分類(早期:20名 非早期:78名)。そしてTOEFL iBTの簡易模試を用い、熟達度を検査。更に、文理解の処理容量を計測するためのWord Span Taskを受けてもらうことで、Low Span(低容量)、Middle Span(中容量)、High Span (高容量)との三群に分類を行った。 ただ、熟達の鍵を特定するのに最も必要となる熟達者(学習開始時期が早期か否かではなく、熟達度計測において高成績を収める被験者)の選定がまだ十分には足りていないため、その点は次年度も継続し行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、①熟達の鍵を特定するための文理解実験を行い、その後②得られた結果を教授法に活かすという流れをとる。 上記【9.研究実績の概要】にも記したように、その流れに沿う形で、平成25年度は、分類基準(1)学習開始時期、(2)熟達度、そして(3)文理解時の処理容量(ワーキングメモリ)を分類基準とした実験参加候補者(被験者)の選定および分類の段階とした。 今年度は、実験参加者候補の選定・分類は実施されているので予定通り順調に計画を実行できてはいるが、熟達の鍵を特定するのに最も必要となる熟達者(上級者)の選定がまだ十分には足りていないため、その点は次年度も継続し行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の計画予定は概ね順調に進めてられてはいるが、上述したようにやや足らない点(熟達の鍵を特定するのに最も必要となる熟達者(上級者)の選定)を補い、継続的に熟達被験者を探し出していく。 十分な数の実験参加者(被験者)を集め次第、実験デザインの計画、および予備実験等に進んでいく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定したほど、人件費および旅費に対して費用がかからなかったため。 1. 人件費については、まだまだ実験参加者の選定が足らないこともあり、次年度使用額が生じた。 2. 旅費については、実験計画そして実験結果を呈示できるのが、次年度予定ということもあり、まだ学会発表を重ねておらず、そのため予定していた旅費に余りが生じた。 熟達の鍵を特定するのに不可欠な熟達者(上級者)の選定は、継続して行うため、そちらに過年度に費やすことができなかった費用をあてていく。 平成26年度経費と平成25年度経費残額を用いて、上記のまだ数が不足している熟達者(上級者)の選定を広く行う。今年度は、主に市内や学内の英語学習経験者を対象に選定を試みたが、熟達者が見つかりにくいため、範囲を広げ、熟達者(学習開始時期は非早期だが、熟達している者)を探し出していくことになる。そのための、費用(人件費、旅費等)が過年度に比して必要になってくる。
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