2013 Fiscal Year Research-status Report
ソフトシステム方法論を援用した意味重視の英語指導法の開発・検証
Project/Area Number |
25580128
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田地野 彰 京都大学, 高等教育研究開発推進センター, 教授 (80289264)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金丸 敏幸 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 助教 (70435791)
笹尾 洋介 豊橋技術科学大学, 工学部, 講師 (80646860)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 英語教授法 / 学習文法 / ソフトシステム方法論 |
Research Abstract |
本研究は、教育課程における縦断的な視点から意味重視の英語指導法を開発し、日本の英語学習者の産出技能を育成することを目的としている。平成25年度は、中等教育における指導法の実態調査と、変換プロセスモデルの構築を中心として取り組み、平成26年度以降に実施する実験測定方法に関する先行研究の調査を並行して行った。 中等教育における英語指導法の実態調査では、九州地区の諸中学校を訪問し、意見交換と聞き取り調査を実施した。聞き取り調査の結果、中等教育の現場では第二言語習得論をベースとした指導法を独自に開発し、実践している実態が明らかとなった。本年度の訪問調査では、聞き取り調査と同時に、われわれの研究内容と意義について説明することで、次年度以降の研究に対する実験協力への承諾も得ることができた。 一方、変換プロセスモデルの構築では、ソフトシステム方法論の国内第一人者を招聘し、講演会を実施することで、ソフトシステム方法論に関する最新の知見の共有を図った。また、その知見に基づき、意味重視の指導法の開発と改良を行い、中学校・高等学校の教員を主な対象者とした講演会で、指導法の概要と意義について講演を行った。 さらに、次年度以降に計画している学習効果の検証に向けて、文法の暗示的知識の獲得について、その測定法に焦点を当てて文献調査を行った。その結果、暗示的知識の測定において効果的であると指摘されている手法のうち、本研究にふさわしいと考えられる手法を決定し、実験計画を作成した。 平成26年度では、これらの成果に基づいて、教育現場に意味重視の指導法を試験的に導入し、その効果を確認することで指導法の改良を目指す予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究計画では、中等教育の現場における指導実態の調査と英語産出技能の育成を目的としたソフトシステム方法論に基づく意味重視の指導法の開発、および指導法の効果を検証するための実験に向けた先行研究の調査を行う予定であった。これらの計画に対し、本年度は概ね順調に遂行できた。とくに実態調査については、調査だけでなく、平成26年度以降に実施する実験についても協力を要請し、研究協力を得ることができたため、今後の研究を支障なく遂行できる目処が立った点は大きな成果と言える。 一方で、今後の実験に必要な先行研究の調査について、実験手法を決定することはできたものの、実験計画の細部、とくに実験の対象となる文法項目や、実験の素材文については十分な議論ができておらず、今後の課題とする。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、次の2つを主に実施する。具体的には、(1)意味重視の指導法の精緻化、(2)指導法の学習効果の測定、である。 意味重視の指導法の精緻化については、指導法と各文法項目とを有機的に関連づけ、各文法項目の効果的な指導順序に対して有益な示唆を提供する。これにより、中等教育における文法シラバスの改良に応用できると考えられる。効果的な指導順序を提案する根拠として、次の2つの観点から予備調査を実施する。一つは英語教科書の文法項目の指導順序の調査であり、もう一つは英語教員の文法項目の指導順序についての意識調査である。 指導法の学習効果の測定については、発話の正確さ(accuracy)、および流暢さ(fluency)に向上が見られるかを、文法の暗示的知識の有無を測定していると考えられている口頭繰り返し(oral imitation)テストと口頭ナレーション(oral narration)テストを用いて測定する。予備調査後は、これらのテストの結果を分析して、指導法の効果の検証と指導法の改良を行い、最終年度に備える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度には、研究分担者の分も調査・研究のための旅費を計上していたが、実験内容の詳細が十分に議論できず、国内出張を行ったのが研究代表者のみにとどまったため、次年度以降の打ち合わせに繰り越すことになった。また、物品費として計上していた分の一部は、実験内容の詳細が確定しなかったため、ソフトウェアの購入を見送り、次年度に繰り越すことにした。 繰り越した助成金の一部は平成25年度に十分実施できなかった打ち合わせの旅費に充当する。残りは、研究計画の繰り上げを行い、研究協力を取り付けた中学校への調査前訪問の旅費に充当し、確実に調査が実施できるよう実施前打ち合わせを行う。また、物品費については実験用のソフトウェアの購入を平成26年度に行う。
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Research Products
(2 results)