2014 Fiscal Year Annual Research Report
パソコン学習がどこまで英語教師に取って代われるのか:脳科学からの検証
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25580133
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Research Institution | Miyagi Gakuin Women's University |
Principal Investigator |
遊佐 典昭 宮城学院女子大学, 学芸学部, 教授 (40182670)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金 情浩 東北大学, 文学研究科, 研究員 (70513852)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | パソコン / 脳科学 / 英語学習 / fMRI / 教師 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、成人が外国語を学ぶ際の教師の役割を社会性の観点から扱った。 英語の学習環境は、従来の教師との対面式から、人間を介さないe-ラーニングなどのパソコンへと変化しつつある。 我が国のように、外国語として英語を学んでいる場合は、学習者が接する言語インプットが限られているので、多種多様な言語インプットを与えるe-ラーニングは、効果があると考えられ、教育現場で導入が加速化している。しかし、パソコンで英語を学ぶことでインプットは増加するが、インプットの質が人間を介した場合とは大きく異なる。さらに、人間を介さないe-ラーニングが、大人の外国語習得に効用があるとする確たる証拠は存在しない。 本研究は、研究課題の基礎データを得るために、まず、成人日本人聴者が、 日本手話を外国語として教室で学ぶ際の教師の果たす役割について、研究チームが行ったデータを詳細に分析した。実験参加者は、日本手話を聾者から直接学習する実験群と、その学習を撮影したDVDから学習した実験群である。実験の結果、行動実験では両グループに有意差が見られなかったが、脳の機能変化に有意差があることが明らかになった。この結果は、母語獲得のみならず、大人の外国語学習においても、言語モデルだけでは不十分で、脳活動の変化を伴う学習のためには、言語モデルと外国語学習者が相互に働きかける社会性が重要であることを示唆している。研究成果は、学会で発表するとともに論文を執筆中である。さらに、第二言語の脳内処理を扱った書籍を出版した。教師の役割に関しては、冠詞の教授効果の実験を行い、研究成果を発表し論文を執筆中である。今後は、この結果をもとに、冠詞学習のパソコン学習を検討する予定であり、研究プロジェクトの準備を行っている。さらに、日本人英語学習者の言語運用に関する実験を行い、研究成果を国内外で発表し、今後の研究基盤を形成した。
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