2013 Fiscal Year Research-status Report
生み出せ!自立学習者―多読・多聴活動を豊かにするシステム開発の構築
Project/Area Number |
25580134
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tokyo International University |
Principal Investigator |
川村 明美 東京国際大学, 言語コミュニケーション学部, 准教授 (30326996)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松林 世志子 東京国際大学, 言語コミュニケーション学部, 准教授 (60383163)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 多読・多聴 / 語彙学習 |
Research Abstract |
本研究の目的は、多読・多聴を通して語彙を増やすためには、どのような工夫をすると効果があるかを調査し、語彙を増やすための有効なシステムを構築して、学習者の動機づけを高め、自立/自律学習者の育成に貢献することである。 多読は語彙の偶発的学習を促す活動として有力ではあるものの、学習者がどのように多読を通して語彙を増やしているか、ということはあまり研究されていない。そこで、多読を通して語彙を増やすにはどうしたらよいかを授業中や授業の課題を通して学習者に考えてもらい、学習者の意識を調査した。その結果、CDで音読されたものを聞くというような聴覚からのインプットよりも、映画を見たり、写真やイラストを入れたパワーポイントを見たり作ったりするような視覚的な補助が好まれることがわかった。また、わからない語をそのままにせずに辞書で調べることも好まれていた。 次に、リスニングスキルが高いということは「聞こえてくる音声が何について話されているか」を素早く理解できるということなので、リスニング時にスキーマがどのように働くかを判断するキーワードに着目し、音声情報に関する内容理解テストや背景知識を予め与える、など3種のタスクを実施した。その結果、学習者は個々の質問に意識が向いて音声情報全体の流れを把握せず、スキーマを活用するいとまが全くないということがわかった。学生たちの意識とキーワード正答率などに大きな差がある、ということは、内容を理解したつもりになっていても実際には聞き取れていない語のほうが多く、集中力が持続できてないということなので、どのように学習者の集中力を持続させるかの方策を模索することが喫緊の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
その理由として、次の2点が挙げられる。 ・多読・多聴教材の作成に着手できていない。 ・そのため、ユーザーがどの語をハイライトしたかを記憶するデータベースや分析用プログラムの完成が遅れ気味である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、まず、多読で辞書を引かずに読む量を多くする活動が、辞書の利用(単語を調べる活動)のあるなしで、どのように違うのかを調査する。さらに学習者の未知語がどのように知っている単語に変わるのかを見極めるために、学習者にとっての未知語を多読開始時に選び出し、その単語が例えば、5回目、10回目に出てきた時にその意味がわかっているかを確認するようなシステムを開発したい。 また、リスニングに関しては、学習者の集中力を途切れさせないような教材研究や、「読みたい、聴きたい」というモチベーションを持続させるためにPBLメソッドを多読・多聴活動に取り入れる工夫なども考えたい。 さらに、未知語をデータベース化するプログラム開発を進めるために多読・多聴パッセージ入力を推進させたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度は海外研究調査が実現できなかったことと、研究協力者への作業依頼ができなかったため、旅費や人件費の支出に差異が生じた。 平成26年度は8月にオーストラリア・ブリスベンで開かれるAILA学会で発表し、同月イギリス・ノッティンガムで開催される予定のL2モチベーション国際学会に参加予定である。
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