2014 Fiscal Year Research-status Report
最新音声情報処理技術を活用した即応力を高める音読・英会話の自動評価システムの開発
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25580135
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Research Institution | Tokyo International University |
Principal Investigator |
山内 豊 東京国際大学, 商学部, 教授 (30306245)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 惠 東海大学, 外国語教育センター, 准教授 (10453705)
川村 明美 東京国際大学, 言語コミュニケーション学部, 准教授 (30326996)
染谷 泰正 関西大学, 外国語学部, 教授 (40348454)
HUSKY Kay 東京国際大学, 商学部, 准教授 (50237955)
峯松 信明 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90273333)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 音読 / 評価 / 発話速度 / 発音 / GOP / 変動係数 / 自動化 / 総合的熟達度 |
Outline of Annual Research Achievements |
音読は,文字情報から音韻・統語・意味情報などを統合して英文の意味を理解する解読作業と,文脈に合うようにリズムやイントネーションを整えながら音声化していく産出作業を同時に行う必要があるために認知負荷が高くなり,外国語学習者が初見の英文パッセージを円滑に音読することは難しいことが多い。しかし,同じ英文をくり返し音読することにより,音韻処理,意味処理,文脈処理, prosodic planning処理,構音処理などが高速化・自動化され円滑に音読できるようになる。 音読の自動評価システムを構築するに当たり,この音読の言語処理の自動化の度合いを示す指標として変動係数(CV: coefficient of variation)が適応できるかどうかを実証的に調査した。英語の総合的熟達度が高く処理の自動化が進んでいる学習者ほど,変動係数が小さくなることが報告されている(Segalowitz & Segalowitz 1993; Harrington 2007)。異なる英語熟達度の日本人英語学習者に,初見の英文を繰り返し音読録音してもらった。その後,初めての音読と繰り返した後の音読とで,発話速度と発音の正確性がどのように変化し,変動係数を測定した。 実験の結果,くり返しにより音読の発話速度が上がるため,くり返しが音読の自動化に貢献すること,発音の正確性を示すGOPは,くり返しの影響を発話速度ほどは受けないこと,読みやすい英文については,熟達度の高い学習者ほど変動係数が縮小し,音読の自動化が進む傾向があり,熟達度の低い学習者では変動係数の縮小があまり見られないことがわかった。 以上の結果は,英語力が高く処理の自動化が進んでいる学習者ほど変動係数が小さくなるという先行研究の結果と一致するため,変動係数を音読の自動化の指標として使用できる可能性が高いことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
発話速度は音読の自動化を評価するのに有用な指標であることが明らかになった。しかし,単に速ければよいというわけではなく,発話速度が上がり過ぎた場合,音読は不自然になり発音の正確性も失われることもある。このように,音読速度の上昇と発音の正確性・自然さの間には,一方が良くなると一方が悪くなるという,ある種のトレードオフの関係が存在する。しかし,このトレードオフの関係について,読み手の総合的熟達度との関係で,具体的に調査した先行研究はほとんどなく,この点をしっかり調査してからCALLシステムの構築に入る必要があることが明らかになったため。
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Strategy for Future Research Activity |
トレードオフの関係にある発話速度と発音の正確性の関係を明らかにし,そのバランスをとれるパラメータなどを確認してから,実際のCALLシステムの構築に入ることになる。 今後の課題としては,トレードオフの観点を考慮した発話速度の測定方法の確立,および,それを含めた音読のCALLシステムの構築作業になる予定である。
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Causes of Carryover |
発話速度は音読の自動化を評価するのに有用な指標であるこが,単に速ければよいというわけではなく,発話速度が上がり過ぎた場合,音読は不自然になり発音の正確性も失われることもある。このように,音読速度の上昇と発音の正確性・自然さの間には,一方が良くなると一方が悪くなるという,ある種のトレードオフの関係が存在する。しかし,このトレードオフの関係について,読み手の総合的熟達度との関係で,具体的に調査した先行研究はほとんどなく,この点をしっかり調査してからCALLシステムの構築に入る必要性が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
発音の正確性とのトレードオフを考慮した発話速度の測定法の確立,および,この方法論に基づいた音読用CALLシステムの構築のための関連図書館購入,研究打ち合わせ旅費と調査旅費に使用する予定である。
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Research Products
(7 results)