2015 Fiscal Year Research-status Report
学習者の文法理解の深度をより効果的に弁別する新たな多肢選択文法問題の開発
Project/Area Number |
25580144
|
Research Institution | Matsuyama University |
Principal Investigator |
池上 真人 松山大学, 経営学部, 准教授 (60420759)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 信之 広島市立大学, 国際学部, 教授 (80202472)
渡辺 智恵 広島市立大学, 国際学部, 教授 (80275396)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 英語教育 / 多肢選択型文法問題 / 複数正答 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度の当初計画では、多肢選択型文法問題における複数正答式と択一式の学習に対する影響を調査する予定であったが、平成26年度までの調査によって得られた知見から、複数正答式の多肢選択文法問題における誤答を分析することによって、学習者の理解度の測定を精緻化することができる可能性が高まったことから、平成27年度では、誤答分析用の調査の準備段階として、平成26年度までに得られているデータを再度検討し、誤答分析用の問題を作成した。 択一式の場合は、消去法を用いて誤答を探す学習者が多いことはすでに明らかであるが、どの課題で消去法を用いたのかは解答からのみでは分からない。また、ある学習者が結果的に正答を選べていたとしても、他の全ての選択肢を誤答であると判断したためなのかどうかは定かではなく、また同様に誤答を選んでしまった場合でも、正答である選択肢を誤りであると判断した結果なのかは不明確である。言い換えれば、択一式では、全ての選択肢を検討した結果として最終的な解答を選んだのかどうかは分からないのである。しかし、複数正答式の場合は、インタビュー調査の結果から、ほとんどの学習者は解答に際して全ての選択肢を検討していることが示されており、正答を選べている場合は他の選択肢は誤答である(又は「わからない」)と判断しており、誤答を選んでしまっている場合は、正答である選択肢を誤答(又は「わからない」)と判断していると考えることができる。 このことから、複数正答式の多肢選択問題では、ある文法項目を問うための設問が、同時に錯乱肢として設定されている語句に関する文法項目を問う問題にもなりうると考えられ、学習者の理解度をより深く測ると共に、学習者の理解を測るための設問数を大幅に削減することが可能となるのではないかと期待される。平成28年度においては、この点を明らかにすることを計画している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、誤答分析用の調査の実施までを平成27年度に行う予定であったが、問題作成等に時間がかかってしまったため、平成28年度に実施することとなった。その点については、多少の遅れが生じていると考えてる。しかしながら、誤答分析用の調査は、当初の計画に追加して行われる調査であるため、全体としては順調に研究が進んでいると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、誤答分析用の調査の実施、および問題形式の違いが学習に及ぼす影響についての調査を行う予定である。具体的には、前期中に誤答分析用の量的調査を実施し、それらの分析を行う。また後期には、必要であればフォローアップインタビュー等を実施すると共に、学習への影響についての調査を行うことを予定している。
|
Causes of Carryover |
代表者および分担者は他の研究においても共同研究を行っており、そちらの研究会に合わせて本研究の研究会を行ったため、旅費の支出の部分を削減できたことが、次年度への繰越が生じた大きな理由である。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は、発表等のための学会参加に旅費が必要となる。また、調査を行う予定であるため、謝金等が必要となることを想定している。
|