2015 Fiscal Year Research-status Report
可能性としての口述資料-『被爆者の声』の確定と公開-
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25580151
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
今野 日出晴 岩手大学, 教育学部, 教授 (10380213)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 被爆者 / オーラル・ヒストリー / デジタル・アーカイブ / 口述資料 / 平和教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、故伊藤明彦氏が、採録した<被爆者の声>の録音データ (原テープと証言ビデオ)などの資料を対象に悉皆調査をおこなうとともに、他の文書資料と照合しながら,一つの資料群として確定することを目的としている。平成26年度に調査したことをもとに、「口述資料」と文書資料との関係性について分析を加え、第12回飯田市地域史研究集会基調報告(招待講演)をもとにしながら、新たな知見を加えて成果を公表した(『飯田市歴史研究所 年報』第13号、2015年)。そこでは、この資料群が,「口述資料」と文書資料とが相互に補いあいながら,「証拠性」を実現し、現代史資料として整理するためのひとつのモデルとなり得ることを明らかにした。さらに、岩手県で採録された口述資料が、その後に齋藤三郎氏の「被爆者の手記」を活用した小学校の歴史教育実践と関連していたことなどが明らかになり、戦後歴史教育・平和教育への可能性を展望することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の予定より、大学運営業務が大幅に増加し、その対応のために忙殺されたため、本研究については、当初計画していた悉皆調査を終了することができなかった。そのために、本調査研究を次年度まで延長することを申請した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度には、遅れていた調査を終了させるとともに、中間報告において明らかにした、本資料群が有する意義をよりいっそう明確なものにする。特に、調査が残っているビデオ資料について集中的に調査し(長崎・東京)、これまでのものとあわせて全体像を確定することとする。
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Causes of Carryover |
平成27年度は、当初予定していた長崎・東京での調査を実施することができなかった。そのために、口述資料群(音声とビデオ)のなかでも、ビデオに関しての調査が残っている。その調査をおこなうための経費を平成28年度に繰り越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
悉皆調査のために、口述資料群のなかでも、ビデオ資料に関しての調査を行う(長崎と東京)。そのために、繰り越した使用額のほとんどは、調査のための旅費等に支出する予定である。
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