2014 Fiscal Year Research-status Report
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25580152
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
麓 慎一 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (30261259)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 / 海産物 / 中国 / 日本 / 韓国 / 昆布 / 華僑 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、10月4日に研究集会を実施したことが大きな実績である。これにより本研究課題を進展させることができた。参加者は、中国海洋大学修斌・趙成国、山東師範大学楊蕾、韓国国立民族博物館オチャンヒョン、神奈川大学経済学部田島佳也(連携研究者)、立命館大学石川亮太(連携研究者)と麓慎一(研究代表者)である。研究代表者の麓慎一は、「近代日本における北洋漁業の展開と中国」と題して研究発表を実施した。北洋漁業における塩の調達の問題を『大日本水産会報』などから解明した。この発表に対して中国側の研究者から中国海洋大学の所在地である山東半島の塩の生産などについて情報を得ることができた。 修斌氏からは、北海道の海産物と中国の関係について、趙成国氏からは中国の昆布貿易についての報告があった。楊蕾氏からは、海産物の流通の問題について「第一次世界大戦前後の日本汽船海運業」と題して報告があり、航路の形成と海産物の流通の関係について新たな知見を得ることができた。オチャンヒョン氏は、韓国における漁村構造や漁具についての最新の研究成果を報告した。石川亮太氏は、明治期の釜山水産会社についての分析を発表し、田島佳也氏は19世紀における北海道の輸出海産物についての報告を行った。 以上の研究から、やはり東アジアの水産業が密接に連関していて、一国史的な視点や資料からでは解析できないことを再確認することができた。さらに、どのような視点で研究を推進していけば東アジアの水産業の相互関係を解明することができのか、という具体的な課題を見つけられたことも大きな成果であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度に実施した研究会が本研究課題に特段に有益であったものの、当初、予想していたよりも多くの経費をこの研究会で執行したために、資料調査などの活動を縮小せざるを得なかった。しかし、研究会が具体的な研究課題を示唆してくれたことなどから研究が進展した、と評価することは妥当である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の研究会で明らかになった点をさらに進展させる。特に、塩・缶詰・冷凍船など水産物の保存と加工の問題が東アジアの水産業を理解する上でカギになることが理解できたので、この点について平成27年度は研究を推進させる予定である。実際に、山東半島での調査を実施する予定である。 東アジアの水産業に深く関与した官僚についても調査を実施する予定である。現段階では伊藤一隆を研究対象とする予定である。
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Causes of Carryover |
平成26年度における新潟大学での研究集会において本研究課題についての研究基盤が形成できたので、これを踏まえて日本国内の史料調査を実施して、研究集会において議論となった問題についてさらに研究を進展させる。 特に、水産官僚の役割りに注目して研究を推進させることで東アジアの水産業の連関を解明することができると見通している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国立国会図書館および水産官僚の伊藤一隆関係文書の調査を実施する。調査予定地は、東京・札幌が中心である。
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Research Products
(3 results)