2014 Fiscal Year Research-status Report
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25580153
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
鐘江 宏之 学習院大学, 文学部, 教授 (80272433)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 信 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (80132744)
高埜 利彦 学習院大学, 文学部, 教授 (90092254)
千葉 功 学習院大学, 文学部, 教授 (50327954)
岩淵 令治 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 教授 (90300681)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 江戸時代 / 明治時代 / 木簡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては、日本近世史・日本近代史の文献史学の研究者、日本古代の木簡を主に発展してきた木簡学の研究者が研究分担者となり、日本近世の歴史考古学を専門とする研究者に連携研究者として参加してもらっている。 平成25年度には、研究組織を立ち上げるとともに、継続的な研究の推進のためにどのような体制で行うのがよいかを考え、また研究協力を依頼していく外部の研究者とのネットワークを作ることができた。こうしたメンバーで研究打ち合わせを行っていく中で、今後の研究のためにデータベースの作成が必要であることを共通認識とすることができ、どのような様式のデータベースにするのが適当であるかを検討して、入力データの項目などの検討を主に行い、サンプルとなる入力作業に取りかかることができた。 平成26年度には、中央区教育委員会の埋蔵文化財調査担当者の協力を得て、中央区の文化財倉庫で2度の調査を行った。近世・近代木簡の調査研究の現状と、資料の実物の保管状況を実地で見聞することによって、現状について理解を深めることができた。また、木簡の実物を調査することによって、近世木簡に特有の分析上の注意点など、研究組織全体であらためて認識を共有し理解を深めることができた。そしてこうした調査の経験を踏まえた上で、東京都23区内の木簡出土量の全貌を確認し、出土点数が最も多く、また資料の情報公開も進んでいる中央区を優先してデータベース入力作業を進めることとした。この作業は現在継続中である。また、ここまで研究組織で議論してきた今後の江戸・東京木簡の研究の方向性について、木簡学会の平成26年度研究集会において研究代表者と連携研究者が口頭報告を行い、全国の研究者と意見交換を行った。本研究の意義と現状を理解してもらうことができたことは、今後の発展に向けての大きな成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今後の研究の中核となる組織を作ることについては、十分にその目的を達成できている。現在の研究組織で連絡をとりながら、外部の研究者と協力して研究を発展させるための下地が作れたとが最大の成果である。 江戸・東京の木簡を対象としたデータベースについて、その構築を研究の目的としているが、現在までに、どのような入力データ項目が必要か、またどのような資料群から作業を進めるべきかという点の検討は、おおむね終えることができた。資料全体の点数が膨大で、また入力対象となるデータも多くの報告書に分散しているため、その全貌を把握し指針を定めることが継続的な作業のために重要であった。この作業自体は、本研究課題の後も何らかの形で継続していかなければならないので、その未来までを見据えて方針を確定しておくことが研究じたいの価値の上で最も重要な点であり、慎重に取り組んできた結果として、時間をかけたものである。 研究の現状における問題点と今後の方向性について、その見解をまとめて学会で報告し、全国的にその問題意識を提示することができた。木簡学会での報告によって、全国の研究者が注目し、また新聞報道などで一般にもこの分野の研究進展の必要性を訴えることができたことは大きく、今後の研究進展のための布石として重要な成果であったと考える。一方で、事例研究を進め、その成果をまとめた個別研究の形で論考を発表していきたいと考えていたが、それは学会での口頭報告の内容として盛り込むことはできたものの、活字化して公表するまでには至っていない。このことはできるだけ早い機会に達成していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、まずデータベース作成作業をさらに進めていくことが必要と考えている。平成25年度に試作として取り組んだものの、平成26年度はその方向性を検討することに時間を費やしてしまい、作業自体はそれほど進めることができないままに終わってしまった。しかし、対象とする地域を、現在の行政区画ごとの木簡出土量の多い順に進めていくことに定めたため、今後は中央区を最初に終えられるように、取り組んでいく。 また、木簡資料が江戸時代から明治時代にかけての江戸・東京のどのような面を明らかにしていけるのか、その有効性を広く示していくために、資料群を絞ってケーススタディーを行い、多方面からの検討をまとめて公表していく必要があることを研究分担者と連携研究者の間の共通理解とすることができている。まとまった資料群としては、港区汐留遺跡を第一候補として、今後数年かけて多方向からの分析を進め、研究代表者・研究分担者・連携研究者の連名で研究成果を公表していけるように、本研究課題終了後に取り組む課題を見据えている。
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Causes of Carryover |
平成26年度において、データベース構築のための入力項目と入力方式の検討について、予想以上に時間を要してしまった。データ収集の対象となる発掘調査報告書などの選定に関しては、購入せずに済む図書からとりかかっているが、上記の理由で購入対象図書の選定は後回しとなり時間がかかってしまった。現在の方針でより優れた成果をあげ、今後も継続した研究を進めることを前提とするならば、関連する地誌情報や関連史料などをまとめた書籍を備えておくほうが有用であるとの結論を得て、購入図書の再検討を行った。こうした経緯によって、補助事業期間の延長を申請し許可された。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度においては、データベース入力作業に伴う必要物品等と、情報を確認するための関連史料を集成した図書を購入するために研究費を使用したい。 また、本研究課題におけるデータベース作成としての作業を一通り終えたところで、研究分担者・連携研究者が集まり、本課題の達成具合を確認するとともに、今後の研究発展に向けた指針を定めることにしたい。そのための旅費と、会合の記録整理のための謝金としても使用する。
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Research Products
(5 results)