2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25580172
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大山 修一 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (00322347)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊谷 樹一 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (20232382)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 土地制度 / 土地の収奪 / 私有化 / 土地法 / 国際研究者交流 / ザンビア / タンザニア / ウガンダ |
Research Abstract |
アフリカ諸国では、1990年代に新たな土地法が成立し、慣習地における土地取得制度に対して市場メカニズムの導入がすすめられている。外資の流入、富裕層の誕生、外国企業の経済活動、大規模な国家プロジェクトにより、土地の収奪-ランドグラッビングがすすみ、現地住民とのコンフリクトが発生している。本研究計画では、ザンビアとタンザニアをはじめとするアフリカ諸国を対象として、慣習地における土地の収奪(ランドグラッビング)が農村社会の生業、土地利用、地域生態系に与えているインパクトを解明することを目的としている。 本年度においては、土地制度の変遷に関する文献、資料を収集するとともに、ザンビアとタンザニアの新聞記事を収集し、土地や資源をめぐる紛争に関して情報を集めた。また、現在の土地問題には独立以前の植民地政府の政策が強く反映しているため、大山はザンビア(北ローデシア)における各民族とのコンセッションの締結、領土の占領、イギリス王室の特許会社であるBSAC(British South African Company:イギリス南アフリカ会社)による植民地統治、BSACからイギリス本国による植民地政府への移管後における土地制度の変遷について検討した。 分担者の伊谷は、タンザニア南西部に広がる季節湿地の利用について調査し、各地で在来農耕-牛放牧-水田稲作が競合している実態を捉えた。とくに、都市に居住する富裕層が凶作年に農民から湿地を買い上げて商業用の稲作水田を拡大するとともに、牧畜社会でも稲牧複合ともいうべき生業様式が広まりつつあることを明らかにしている。 東アフリカのタンザニア、南部アフリカのザンビアの土地制度と比較するため、ウガンダにおいても現地調査を実施し、土地制度や土地利用の現状に関する資料を収集し、今後の研究の基礎資料となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)タンザニアとザンビアにおける土地問題、資源問題に関する新聞報道などの情報を収集するとともに、調査地における生業活動や経済活動が競合している実態を明らかにしつつある。 (2)ザンビアにおいては、チーフや村長といった伝統権威による土地の分配や外部の企業、ザンビア人、外国人に対して土地売却がすすめられている実態を明らかにし、土地分配における伝統権威の役割を検討する必要を明らかにしつつある。タンザニアにおいては、富裕層による土地の買い上げが商業農業の進展をうながすとともに、牧畜民の移動・拡散が農村社会の生産・生業に対して影響を与えている実態が明らかになりつつある。 (3)現代の土地制度は、旧・宗主国による占領と植民地政策、独立以降の国家政策に大きく影響を受けており、本研究では独立以前の政策に関する情報収集をすすめている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、3点の項目について研究を進める予定である。 (1) ザンビアとタンザニアを主な対象国として取り上げ、公文書や地誌・民族誌、土地制度に関する文献・資料、土地や資源問題に関する新聞記事の収集をすすめるとともに、1990年代以降の土地制度・法律の改正を明らかにする。 (2) 慣習地の土地制度に対する市場メカニズムの導入が、農村社会の生業、土地利用、地域生態系に与えるインパクトを解明するとともに、活発化する経済活動、人口移動にともなう土地・資源をめぐる競合について、詳細な現地調査によって明らかにする。 (3) 旧・宗主国による占領と、土地制度をめぐる植民地政策に関する情報収集をすすめる。
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