2015 Fiscal Year Annual Research Report
地理情報システムを用いた広島原爆入市被曝者の健康影響評価
Project/Area Number |
25580175
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Research Institution | Shimonoseki City University |
Principal Investigator |
佐藤 裕哉 下関市立大学, 経済学部, 准教授 (30452626)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 広島原爆 / 地理情報システム / 間接被爆 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究最終年度である平成27年度は, 1)GISで解析するための基礎データの補強と修正,2)1)の基礎データをもとにGISで入市被曝者の移動経路を描画,移動距離を算出し,移動距離と疾病の関連性について分析,の2点について行った。 1)については,具体的には以下の3点について取り組んだ。まずは,入市被曝者の移動経路データの追加である。平成25年度から「被爆者とその家族の調査」(1973~1974年に広島市と広島県が実施)に記載されている入市被曝者の経由地データの入力を進めていたが,本年度で入力を完了した(回答総数42355人)。次に,被爆当時の道路網データの修正である。これについては,GISで処理しても特に問題は見当たらず,これ以上,修正箇所はないことが確認できた。最後に,通行不可地点データの追加である。昨年度までは橋の倒壊などによるポイントバリアデータのみを用いてきたが,それに加えて火災の影響を考慮するために新たにポリゴンバリアデータを作成した。 2)に関しては,GISを用いて入市被曝者の移動経路を描画し,総移動距離と移動経路のうち爆心地からの最短距離を算出した。そして,それらと広島大学原爆放射線医科学研究所が管理する被爆者データベースの死因データを照合し,移動距離と死因との関連性について分析した。その結果,総移動距離が長く,爆心地からの最短距離が近いほど悪性新生物が死因となっている傾向が明らかとなった。特に,最短距離に注目してみると,爆心地から半径500メートル以内に多い傾向がみられた。 なお,これまでの成果を学会にて報告した(2015年6月,2016年3月)。また,佐藤ほか(2016)として雑誌「広島医学」への掲載が決定した。
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