2013 Fiscal Year Research-status Report
ラオス焼畑山村における半世紀間の土地利用変化に関する研究
Project/Area Number |
25580178
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
中辻 享 甲南大学, 文学部, 准教授 (60431649)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 国際研究者交流 / ラオス / 空中写真 / 土地利用 / 焼畑 / 現代史 / 人文地理学 |
Research Abstract |
1. ラオス山村での家畜飼養に関する研究発表 本研究課題を達成するためにはまず、ラオス山村での基本的な土地利用のあり方を把握することが必要である。筆者はこれまで、主に焼畑をはじめとする耕種農業にまつわる土地利用について論文を発表してきた。しかし、ラオス山村では耕種農業だけでなく、家畜飼養も重要な生業であり、それにまつわる特徴的な土地利用がみられる。これに関し、後掲の図書や学会発表において報告を行った。さらに、焼畑については後掲の雑誌論文の刊行をみた。 2. 空中写真の購入 アメリカ合衆国国立公文書記録管理局での資料探索の中で発見した対象地域(ラオス北部ルアンパバーン県シェンヌン郡カン川流域)の1945年の空中写真を平成26年8月に購入した。 3. 最新の空中写真についての情報入手 さらに、26年3月のラオス渡航では、国立地図局を訪れた。この訪問で、地図局がフィンランドの支援のもとで、ラオスの北中部の高精度の空中写真を25年1月に撮影したことを知った。この空中写真はオルソ化をしたのち、26年6月には販売されるという。これで、対象地域の空中写真は1945年、1959年、1982年、1998年、2013年の5時点が得られることになる。 4. 空中写真解析のためのGISソフトの習熟 得られた空中写真をオルソ化し、土地利用の変遷分析するために、本研究ではGISソフト、TNTmipsを使用する。その使い方を学習した。26年度は実際に解析を行う。 5. 26年度後期の在外研究の準備 私は26年度の8月29日から2月28日まで甲南大学の在外研究員としてラオス国立大学に派遣されることになっている。本研究でのフィールドワークはこの時期に集中的に実施する。そのため、25年度の9月と3月のラオス渡航時に、社会科学部のスタッフと相談し、滞在ヴィザや居住地の手配を済ませた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「やや遅れている」としたのは、対象地域の空中写真画像から土地利用変化を読み取る作業が遅れているためである。私は26年度の8月末から半年間、ラオスでの在外研究を開始する。それまでにはGISソフト、TNTmipsを利用して対象地域の空中写真を解析しておきたい。 交付申請書では25年度にアメリカ合衆国やフランスへさらに資料探索に行く旨を書いていた。また、ラオスの調査地についても北部のルアンパバーン県シェンヌン郡カン川流域だけでなく、南部の調査地をも選定する旨を書いていた。しかし、これについても実施できなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の交付申請書で資料探索や南部の調査地選定を計画していたのは、広域的な土地利用分析を行いたいがためである。しかし、実際には私はまだ空中写真分析の経験がなく、TNTmipsも使い慣れていない状況にある。 そこで、26年度の前半はカン川流域の調査地のみに絞り、その土地利用変化のみをTNTmipsを用いながら明らかにする作業を行うことにしたい。シェンヌン郡の調査地は私自身が10年以上通ってきた地域である。そのため、私はこの地域の地理や歴史によく通じている。そこで、本研究ではまず、この地域で土地利用変化の分析を行いたい。その後余力があれば、広域的な分析にとりかかりたい。このように軌道修正することで、当初の研究計画を部分的ではあれ、達成することをめざす。 26年度の後半はラオスに滞在するので、空中写真から判断された土地利用変化の詳細やその要因を現地踏査や聞取り調査から明らかにする作業を行う。これについてもまずはカン川流域で実施し、余力があれば、他の調査地(例えば南部)で調査を行うことにしたい。 また、私はアメリカ合衆国が1940年代から60年代に東南アジアで撮影した空中写真の標定図を入手している。これを用いて、この時期にラオスのどの地域で空中写真がよく撮影されているかを明らかにする作業も行いたい。 さらに、25年度に実施できなかったアメリカやフランスでの地理資料探索についても、26年度の在外研究期間中に実施することを検討している。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度に190万円近くの残額が生じた理由は当初予定していたアメリカ合衆国やフランスでの地理資料調査を実施できなかったためである。そのための渡航費や地理資料購入費が次年度にまわされることになった。また、地理資料調査で使用する高性能カメラも購入しなかったため、その分も残額となった。 地理資料調査を断念した理由は新たに資料を収集するよりも、今手持ちの資料を使って対象地域のカン川流域の土地利用変化を明らかにする作業に集中したかったためである。資料調査を実施しなかったため、その際に利用するカメラも購入しなかった。 平成26年度の在外研究期間中にアメリカやフランスでの地理資料調査を実施することで、残額を消費したい。また、26年度分の助成金はパソコン、プリンター、スキャナーの購入など、在外研究期間中のラオスでの研究環境を整えるために使用する。
|