2014 Fiscal Year Research-status Report
花祭の発展的継承と地域文化の多様性保全に向けた社会シナリオの創出
Project/Area Number |
25580180
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐々木 重洋 名古屋大学, 文学研究科, 准教授 (00293275)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 文化人類学 / 花祭 / 芸能・芸術 / 社会シナリオ研究 / 過疎山間地域 / 地域活性化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度も前年度に引き続き、花祭保存会、地域関係者、研究者、自治体関係者と共同で花祭の伝承基盤、花祭を取り巻く社会背景、奥三河山間地域における森林資源の物質的利用状況と精神的価値に関する資料を収集し、整理した。とくに、花祭の継承地である奥三河三町村(設楽町、東栄町、豊根村)において、自治体と自治体関係者の協力を得て、民俗行政に関する資料、花祭の継承状況に関する調査資料の収集とそれらの予備的検討をおこなうことができた。 また、昨年度参画した愛知県による「地域円卓会議」と、その議論を取りまとめた提言書「協働ロードマップ」の内容にもとづきつつ、花祭の発展的な継承を可能とする社会シナリオの検討を開始するとともに、「サポートデスク」など行政のボランティア人材登録制度などを活用した花祭の継承支援と間伐や農作業の手伝い、都市住民の将来的な奥三河地域への移住に向けたさまざまな方途を実施する体制のありかたについても、さまざまな立場のアクター間で幅広く意見交換をおこなうことができた。 年度の前半には、説話・伝承学会が主催するシンポジウム「アジアの中の花祭」(4月27日、中京大学)にコメンテーターとして参加し、本研究課題のような視点と問題意識も重要であることを指摘した。また、花祭の継承支援と地域社会活性化の一助としての映像記録作業の意義について論じた論考を執筆した(岩波書店『DVDブック 甦る民俗映像』として2015年9月刊行予定)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでのところ、おおむね予定どおりにすすんでいる。また、平成26年度は別財源(文化庁事業「文化遺産を活かした地域活性化事業」)により、「花祭の保存・伝承による次世代継承および地域活性化事業」を推進する機会を得ることができたため、本研究課題との有機的連携と活動の相乗効果により、社会的波及効果についても一定の成果をあげることができたと考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度もこれまでの活動実績をふまえつつ、研究を推進していく予定である。また、本年度も文化庁事業として「花祭の保存・伝承による次世代継承および地域活性化事業」が採択されたため、これらを有機的に組み合わせ、花祭の継承を念頭に地域文化の多様性を保全し得る社会シナリオの検討と、その実践的試みの相乗効果を向上させたい。
|
Research Products
(4 results)