2014 Fiscal Year Research-status Report
動的共創型デジタルアーカイブズ構築-梅棹忠夫資料に基づいて
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25580188
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
久保 正敏 国立民族学博物館, 文化資源研究センター, 教授 (20026355)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | デジタルアーカイブズ / 共有と共創 / 参加成長型アーカイブズ / フォーラム型アーカイブズ |
Outline of Annual Research Achievements |
国立民族学博物館(以下、民博)初代館長・梅棹忠夫が残した膨大な資料は、フィールドワーク途上の諸記録だけでなく、生涯にわたる知的生産活動に関わり、幅広い地域と分野をカバーした世界に誇る文化資源である。2011 年度来、民博ではこの「梅棹忠夫資料」の整理保存を開始し、目録情報のデータ入力と解析を進めている。 本研究では、入力されたデータに基づき、多分野研究者がそこで見出し記述した資料間の関係性を共有し、動的に共同で知を創出できる共創型デジタルアーカイブズ・システムを構築する。これを多分野研究者が共有することで、民族学史・調査探検史等の解明を共同で進めることが期待できるとともに、他機関でも研究者の残したアーカイブズ資料のデジタル化を進める際のモデルとなることが期待できる。 梅棹忠夫アーカイブズの各種資料に関する基本的目録情報、画像データについては、既に相当量が蓄積されつつある。これらに基づき、資料のカテゴリー別整理基本方針の策定及び内容索引付与について、連携研究者らと検討を重ねた。その結果、既に刊行されている『梅棹忠夫著作集 年譜・総索引』の索引が、関連するテーマの専門家によって作成されていることに鑑み、当初から計画している「時間値・空間値・主題値(キーワード)群」三つ組によるアーカイブズ内容索引のうちの主題値に著作集の索引全点を付加すること、かつ、この索引を梅棹忠夫アーカイブズ資料間の相互リンク形成に活用することを立案した。また、時間値、空間値の標準フォーマットとして、時間値については全てのイベントを時間幅を持ったものと見なし、開始日時と収量日時をともにユリスス通日で表現すること、空間値については、該当地域の中心地、および全体を覆う長方形区域の緯度経度によって表現すること、をそれぞれ立案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上述した様に、既に刊行されている『梅棹忠夫著作集 年譜・総索引』の索引が、関連するテーマの専門家によって作成されていることに鑑み、当初から計画している「時間値・空間値・主題値(キーワード)群」三つ組によるアーカイブズ内容索引のうちの主題値に著作集の索引全点を付加すること、かつ、この索引を梅棹忠夫アーカイブズ資料間の相互リンク形成に活用することを立案した。しかし、著作集・索引のデジタル化について、出版元との連絡・調整を進めたものの、著作権・使用権の帰属について検討に時間を要することが判明し、当初の計画年度内での内容索引完成には至っていない。 他方、リンクに付与するためのタグについての設計はほぼ完了しており、そのシステム構造の設計もほぼ完了しているが、肝心の主題値の完成を未だ見ていない点で、やや遅れた状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
主題値のデジタル化を完了させて内容索引の充実を図り、それに基づくシステムを試作して、関連研究者の意見を聴取しつつ、書き込み型アーカイブズ・システムの設計を進める。ただし、当初は、書き込み後即時検索可能な動的システムを計画していたものの、連携研究者を交えての検討の結果、システム構造が複雑化する点、書き込み結果の検証体制が煩雑で実用的ではない点、を考慮し、書き込み結果は一旦仮の編集用バッファに記憶して校閲・修正を施した後に検索用に提供するシステム形態の方が運用上実際的であることを確認し、その方向での設計を進めている。 実際のシステム構築については、国立民族学博物館で別途計画中の資料管理システムと連携して実現を図る予定である。
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Causes of Carryover |
平成26年度中に、別途作成中の梅棹アーカイブズ資料中の一次資料の項目と、そこから生成された梅棹忠夫の著作物との間に、相互リンクを作成する計画を立てていた。そこで、梅棹忠夫著作集『年譜・総索引』に記載の項目すべてをデジタル化する予定であったが、デジタル化の許諾を得るために同書の出版元と連絡・調整を進めたものの、それに時間を要し、デジタル化を進める事ができなかったため、未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度にかけて許諾を得る作業を急ぎ、その完了次第、次年度に『年譜・総索引』中の必要箇所のデジタル化をおこなう経費、および、リンク作成と相互検索システムの試作に未使用額を充てることにしたい。
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