2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25590001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宇佐美 誠 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (80232809)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須賀 晃一 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (00171116)
那須 耕介 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 准教授 (60330354)
永松 伸吾 関西大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (90335331)
井上 彰 立命館大学, その他の研究科, 准教授 (80535097)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 法哲学 / 政治哲学 / 政策学 / 正義論 / 震災復興 |
Research Abstract |
本研究は、分配的正義論の国際学界における有力理論である運の平等主義や優先主義・十分主義等を震災復興政策上の分配問題にそくして検討することにより、各理論の射程を論定し、その修正・改良を提案することを目的としている。この研究目的を効果的に達成するため、運の平等班と分配理念班を設けてサブ・テーマに特化した研究活動を遂行するとともに、全体会合を通じて各班の成果の共有・統合を推進した。 平成25年度には次の5つの研究作業を予定していた。(1)文献の収集・分析による研究蓄積および問題状況の共有化、(2)法哲学的・政策学的論点の抽出、(3)先端的研究の把握、(4)各メンバーによる理論構築、(5)共同討議を通じた理論彫琢である。これらの作業はいずれも順調に実施することができた。さらに、当初の計画を上回る数量の(6)中間成果の発表を行うことができた。 中間成果として、国際会議「社会正義と大惨事:リスク・責任・互酬性」における宇佐美による運の平等主義の射程と十分主義の改良可能性に関する研究報告や、同会議における井上による運の平等主義の理論的・実践的限界に焦点をあわせた報告が挙げられる。他の中間成果・関連業績には、須賀による制度・認識・社会正義に関する経済学的分析、那須によるグローバリゼーション下での法理論の検討、永松による東日本大震災での雇用創出策の考察などが含まれる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成25年度に予定していた5つの研究作業は、すべて順調に実施できた。(1)文献の収集・分析による研究蓄積および問題状況の共有化、(2)法哲学的・政策学的論点の抽出、(3)先端的研究の把握、(4)各メンバーによる理論構築、(5)共同討議を通じた理論彫琢である。それに加えて、当初の計画を上回る数量の(6)中間成果の発表を行うことができた。まず、年度末に開催された国際会議「社会正義と大惨事:リスク・責任・互酬性」において、宇佐美は、運の平等主義の射程と十分主義の改良可能性に関する研究報告を、また井上は、運の平等主義の理論的・実践的限界をめぐる論争に焦点をあわせた報告をそれぞれ行い、国内外の研究者から多くのフィードバックを得た。また、他の中間成果・関連業績には、須賀による制度・認識・社会正義に関する経済学的分析、那須によるグローバリゼーション下での法理論の検討、永松による東日本大震災での雇用創出策の考察などが含まれる。以上の理由により、平成25年度には、研究は当初の計画以上に進展したと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度も前年度と同様に、運の平等班と分配理念班を設けてサブ・テーマに特化した研究活動を遂行するとともに、全体会合を通じて各班の成果の共有・統合を推進する。前年度の研究活動の成果を踏まえて、平成26年度の前半期には、(1)各メンバーによる理論構築の継続、(2)共同討議を通じた理論彫琢の継続を行う予定である。後半期には、(3)国内外の学会大会等で研究報告を行う。さらに、平成25年度末に宇佐美・井上が国際会議にて報告した論文草稿を改稿した論文が、国内学術誌に掲載されることが確定している他、同会議で報告された他の諸論文とあわせて英語論文集を公刊する可能性も検討されている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が生じたおもな理由は、(1)図書の購入費用を当初の予定よりも安価に抑えることができたこと、(2)東日本大震災の被災地の政策ニーズや施策プロセス上の問題点を探査するために予定していた現地調査を取りやめ、より理論的なアプローチに重点を移動させたこと、(3)中間成果である複数の英語論文の校閲費用が次年度使用分となったことにある。 次年度助成金については、基本的には当初の計画通り使用してゆく。それに加えて、前年度使用予定だった複数の英語論文の校閲費用も必要となるため、助成金全額を過不足なく執行できる見込みである。
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Research Products
(32 results)